アクアショップや個人取引で混入しがちな害虫対象とされるスネール。大手ファームであってもスネールが混入している可能性はゼロではありません。小さなスネールや卵を確認するのは困難のため、お店側も100%未混入は保証できないほど。こうなったら自身でスネールを除去する他ありません。今回はスネールを除去する方法をご紹介していきます!
スネールの種類
カワコザラガイ

水槽内の全てに付着する2〜3mmの平べったい貝になります。化粧砂のみであったり、石が多く入った水槽は水の硬度が高くなりやすく増殖しやすいです。水草への食害はありませんが、増えすぎると景観を損ねます。また、増えたところで苔除去ができるわけでもありません。景観を損ねるNo1スネールだと思います。
ヒラマキガイ

カタツムリのような平べったい渦巻き型の貝になります。カワコザラガイと同じく硬度が高いと繁殖しやすいです。
カワコザラガイよりも目立つフォルムのため繁殖すると景観がかなり損なわれます。また、大きいものは5mm程度にもなり増えすぎるとそれに伴って硬度も上がっていくので、負のスパイラルに陥ります。カワコザラガイと同様に食害はありません。
モノアラガイ

タニシのようなフォルムをした丸みを帯びた貝です。カワコザラガイやヒラマキガイと比べると発生確率は少ないように感じます。主にショップからの持ち込みである場合が多く、増える速度も非常に緩やかなので「1匹駆除したら終わり」というケースも珍しくありません。
スネールに害はあるの?
先に挙げた3種類の貝は水槽内に発生しやすい代表格と言えます。貝全てを総称してスネールと言いますが、スネールは景観を損ねるだけで生体や水草に害を与えることはありません。モノアラガイのような丸みのあるスネールは駆除されずに可愛がられるケースもあります。
硬度が上がる可能性がある
スネールからの食害などはないものの、貝であるため、増殖すれば硬度が上がっていく可能性があります。それによって水草の調子が悪くなるなんてことも考えられるのも事実です。
景観が損なう
カワコザラガイのような小さなスネールはショートヘアグラスといった葉が小さいものにもピッタリくっつきます。そのため、繁殖していくと至る所にくっついてる状態になるので見た目が単純に気持ち悪いです。
水槽を傷つける場合がある
主にカワコザラガイがその対象ですが、ガラス面をメラミンスポンジで拭き取る際に、小さなカワコザラガイが側面についてることで、ガラスに小さな傷がついてしまう場合があります。
スネール駆除におすすめの生体
バジス・バジス

バジスバジスやスカーレットジェムはスネール駆除に適した生体です。45cm水槽あたり、1匹もいれば全滅させることも容易。エビやその他の魚への攻撃性も弱いため水槽に導入しやすいのが良点。ただし、ほとんどの個体が赤虫しか食べないため、フレークをメインで構成された水槽では世話が面倒かもしれません。
大きい個体は要注意
比較的温和なバジスバジスですが、大きく成長すると超小型魚(2cm以下)を捕食してしまう場合があります。また、スネールは基本的に好物なのでゴールデンアップルスネールといった大型スネールも関係なく食べてしまいます。

スカーレットジェム

バジスバジスの仲間とも言えるダリオ系の魚。バジスバジスと比べると全長が3cm程度にしかならないので超小型魚(2cm以下)やエビが襲われることはありません。スカーレットジェムはフレークにも慣れることがあるのでフレークをメインとしている水槽でも問題なく混泳することができます。

チェリーバルブ

真っ赤な身体が水槽のアクセントとしても効く小型魚です。フレークで育てられる利点もありますが、残念なことにエビも捕食対象。エビの隠れ家がなければバラされてしまうので要注意です。

アベニーパファー
こちらもスネール駆逐にうってつけの淡水フグです。可愛い姿なのでメイン生体としても起用できるでしょう。しかし、サイズの小さいエビ類も食べてしまうため、コケ対策が難しくなります。また、個体によっては他の魚のヒレをかじってしまうケースもあります。アベニーパファーはスネールを主食にするケースもあり、飼育者の方がスネール付きの水草を求めるほど。
スネールキラースネール

スネールを食べるスネールです。別名アサシンスネールとも呼ばれています。「スネールなら増えちゃうのが心配」という方もいるかと思いますが、産卵数が少なく成長は遅いので数多く入れなければコントロールできるでしょう。水槽では水質が悪いと水面に近づいていく性質を利用すれば水槽のパラメータとしても活用できます。


サイアミーズフライングフォックス

髭コケを始めとするコケ掃除の魚として知られるサイアミーズフライングフォックスですが、水草が少ない環境やスネールが大量発生している環境では積極的に食べる場合があります。ただし、遊泳スペースが広くとれ、苔や水草が多い環境では狙ってスネールを食べることはほぼしません。

アピストグラマ

コレクション性の高いアピストグラマも実はスネールが大好き。スネール全般を捕食するのでカワコザラガイはもちろん、肉質のあるモノアラガイ、ヒラマキガイなども好物。キラースネールやラムズホーンなども食べてしまうので貝類との混泳はできないほど。トリファスキアータなど小型(4cmほど)のアピストは観賞魚としても素敵なのでスネール除去も合わせて導入するのも良いかもしれません。

トーマシー
最大で12cm程になるシクリッドの一種です。成長するほど気性が荒くなるため、小型魚やエビは捕食対象になってしまいます。スネール対策で入れるにはちょっと大きすぎますかね。
生体以外でスネールを駆除する方法
素手で駆除しつつ水質改善
スネールは見つけた瞬間から手で取っていき、なるべく生きられないように水を一気に入れ替えるなどの策が有効です。ただ、水を一生懸命入れ替えても撲滅の可能性はそこまで高くなく、他の生体に影響が出かねないのであまりおすすめしません。
貝とーるは有効?
GEXなどから出ている貝をおびき寄せ除去する、実質ゴキブリホイホイ的なものです。ほとんど効果は望めません。
スネールバスターは有効?
スネール除去を目的とした無添加の粉末状の薬です。生体へのダメージはなく、カワコザラガイの除去はかなり有効です。ただし、ヒラマキガイには効かないレビューが多数。1本あたり1800円ほどなので、自身の水槽に出現しているスネールが何なのか確認してから出ないと無駄金になってしまいます。
水槽リセット
水槽を思い切ってリセットしてしまいましょう。ただし、ソイルなどの底砂の使い回しや水草の洗浄無しだとすぐにスネールは復活します。再度、水槽をたちあげる前に水草や流木は「水草その前に」に10分程度漬けて綺麗にしましょう。
水槽を弱酸性に傾ける
スネールはpHを大きく下げると貝殻が溶けていき生存維持できなくなるとも言われています。pH調整材などを使って弱酸性に傾けてみるのも一つの手段です。
スネール駆除と対策方法まとめ
立ち上げ時は「水草その前に」を必ず使う
組織培養で管理された水草や水上葉を使用した水槽の場合、備品などにスネールが付着してなければほぼ発生することはありません。しかし、水中葉をショップで購入してきた場合や過去にスネールが発生したことがある水槽の備品を使用すると新たにスネールが発生することはよくある話。
ショップで水草を購入した場合は、見た目で分からなくてもスネールの卵などが付着している場合があります。水草その前にを使用して事前駆除しておけば発生自体を防ぐことができるのでおすすめです。
発生してしまったら生体導入がおすすめ
手間をかけずにスネール除去を目論むなら生体導入が一番手っ取り早いです。筆者は60cm水槽に立ち上げ直後からバジスバジスを3匹入れていますが、その水槽では一度もスネールを見た事がありません。

他の生態への影響もないですし、スネール監視フィッシュとして超優れていると思っています。(姿も美しいですしね)スネールに悩んでいる人は上記に挙げた生体導入や薬剤を検討して見てください。