ソイルに寿命はある?ない?ソイルのメリットとデメリットも紹介
水草を育てる時に必要になるアクアリウム用の土「ソイル」。巷ではそのソイルに寿命があるとかないとか言われていますが、実際のところ寿命はあるのか?をこの記事では解説していきます。そもそもソイルって何が良いのか?種類などにも触れているので参考にお読み下さい。
ソイルとは?
ソイルの特徴
アクアリウムでは水質を弱酸に傾けたり(PHを下げる)、水草を育てるために土を丸く固めた物を使います。それをソイルと呼び、吸着性ソイルや栄養ソイルなど様々な種類が存在します。
丸く固められているので水中で待っても泥が攪拌されることなく、速やかに沈下してくれるメリットがあります。普通の土を水槽の低床にし、水を入れても生物や植物の育成は可能ですが、泥がまいやすく、落ち着くまでにかなりの時間を有します。観賞用として土を扱いやすくする意味でソイルは重要なのです。
ソイルに寿命はある?ない?
ソイルの寿命の概念
まずはソイルの寿命の概念をおさらいしよう。一般的にソイルの寿命は半年〜1年と言われていますが、その寿命概念は以下の通り。
- 栄養が切れる(なくなる)
- 形状が崩れ始める
栄養切れと形状(丸く固まった姿)の崩壊を指しているようです。これは寿命というよりソイルとして販売されている品質の維持という方が正しく感じませんか?品質維持できない=買い替えであれば納得ですが、寿命という言葉は合わないでしょう。ソイル自体砕けても水草はしっかり根を張りますし、育ちます。砕けたソイルも層になり、バクテリアはしっかり住み着きます。
結論:ソイルに寿命があるは嘘
言葉の使い方が全てですね。
ソイルに寿命があるというのは言葉の意味的に間違いでしょう。イニシャルスティックなどの固形肥料を挿せば土壌として成り立ちますし、砕けてもすぐさまなくなるわけでなく、沈殿していることがほとんどです。確かに砕けた分、土壌が痩せていく(薄くなっていく)場合がありますが、その分上からソイルを足せば無問題です。ソイルは基本寿命なんてありませんので水草育成や水質維持を問題なく続けられる間は使い続けましょう。
ソイルのメリット
微生物やバクテリアが住みやすい
ソイルは土を焼いて固めた粒です。また、ソイルは有機物でもあり、1つ1つの粒にはたくさんの隙間があるので、微生物やバクテリアが住処にしやすい利点があります。
水槽立ち上げの際にバクテリア剤を入れることが立ち上げの常套手段ですが、時間をかければソイルとエアーを炊くだけでバクテリアは定着します。吸着性、栄養系と区分けされて売られていますが、どちらでも微生物、バクテリアは住み着きます。
微生物やバクテリアが住み着いた環境は濾過能力が高く水を綺麗に保ちやすいメリットがあるんだ
水草に必要な栄養が含まれている
所詮は土ですので吸着性ソイルであっても多少の栄養は含まれています。砂利に植えても育つ水草はありますが、ソイルでないと育成が困難な水草も存在します。栄養が含まれているソイルは肥料を与えなくても水草がガンガン成長します。
苔の原因、リンなどを吸収できる
魚を飼育しているとリンなどの苔の原因が発生しやすいです。ソイルを敷いているとリンなどの要素を吸着し、水草の栄養源へと還元させることができます。(濾過剤でも同じ効果を見込める)
ただし、ソイルにも栄養が含まれていたり、吸収限度があるため、水草が吸えない分は水中に充満していってしまいます。それを栄養の飽和と呼び、水の入れ替えが必要になります。
毒性のある亜硝酸塩などを吸着
水槽内の毒性のある物質とはアンモニアや亜硝酸塩、硝酸塩などが挙げられます。目に見えるものではありませんが、茶ゴケが発生している場合や白濁り、オグサレ病が起きているなどは、これらの数値が高い場合がほとんど。
ソイルは亜硝酸塩などを吸着できるので、バクテリアに分解させて無害化させることが狙えます。ただし、濾過バクテリアの量に対して汚れる量が多ければと改善させることは困難なので、飼育環境や濾過能力、エアーの量など色々な部分を見直す必要があります。
硬度を下げ、PHを下げる
ソイルを入れるだけで硬度が下がり、弱酸性へと変えていくことができます。水草や熱帯魚によっては少し硬度を高めが良い場合があるので、その際は石を入れたレイアウトを組んでみたり、牡蠣殻を入れてみたり調整すると良いでしょう。何もしなければPH6.0〜7.8くらいをキープできます。(各所の水道水やレイアウトによって変動)
園芸用として再利用できる
ソイルは元が土なので水槽リセットで不要になったソイルは園芸用として再利用することもできます。問題なく植物は育つので砂利よりもエコで処理しやすいです。
ソイルのデメリット
水槽からの取り出しが困難
水に沈めたソイルを水中から取り出そうとすると高確率で砕けるため、水が泥だらけになる場合があります。水槽のレイアウトを少し変えたい場合や水草の抜き差しによる移動で茶色く濁ってしまうと収集が面倒です。
2日ほどすれば濁りは落ち着きますが、白砂や水草の上に細かな塵が付着する事がほとんどで綺麗な景観を取り戻すのに苦戦を強いられます。
無から微生物が湧く
ソイルは有機物であるため、何かしらの卵などが付着している場合があり、ソイルだけ入れた水槽ですら微生物やスネール、プラナリアなどが湧く場合があります。水質管理が上手くできない初心者はこれが温床となりミズミミズやプラナリア、ヒドラを生み出してしまうことがあります。
ソイルの種類
吸着性ソイル
亜硝酸塩などの有害物質などをソイルに溜め込みやすいソイルです。溜め込みやすい分初期値の中身は空に近いので、水草の栄養不足を引き起こしやすいです。イニシャルスティックなどの固形肥料を混ぜてから立ち上げると良いです。
栄養系ソイル
吸着性ソイルと反して最初から栄養を多く含んでいるのでイニシャルスティックなどの固形肥料を混ぜる必要がありません。水草も育ちやすい反面、栄養の飽和状態になりやすく苔まみれになる場合もあります。栄養を多く含んでいる分、亜硝酸塩などの有害物質を吸着性することに向いていません。
粒の大きさの種類
一般的なソイルの形状です。1番大きな粒で低床の傘増しに最適です。しかし、粒が大きすぎるのでキューバパールグラスなどの前景草が覆うのに非常に時間がかかる。また、水草を植えにくかったり抜けやすい。。
ノーマルタイプの次に小さい粒。ノーマルと比べるとかなり細かいのでキューバパールグラスなどの小さい葉も問題なく覆いやすい。水草絨毯を作りたいならパウダータイプから始めるのがおすすめ。水草も植えやすく、抜けることが少ない。体積の傘増しに向いていないのでちょっとお金がかかる。大型水槽ではノーマルを敷いてからパウダーを敷く方が経済的に優しい上に扱いやすい。
ソイルの1番小さい粒。キューバパールグラスなどの細かい葉でもすぐに絨毯化させやすい。キメが細すぎるため植えやすいものの、抜けやすい。しっかり奥深く植え込む必要がでてくる。体積の傘増しには向いていないためコスパは良くない。パウダータイプを敷いてからスーパーパウダーを敷く使い方がおすすめ。
ソイルの寿命について「まとめ」
ソイルの寿命はない
販売されている品質維持の意味では半年〜1年を目安にしているが、ソイルの本質的な機能面に寿命はほぼない。所詮は土。ということでした。形状として使えるうちはずっと使い続けても良いということですね。もし処分を検討している場合は、ソイルの処分の仕方について、別の記事で紹介しているので参考にご覧ください。
ソイルの寿命だなと思う場面
ソイルに寿命なんてない!というのが当サイトの結論です。
寿命というより品質維持ができないんだよね
ただ、もう捨てないとダメだなと思う場面はやはりあるので簡単に紹介しましょう。
- 藍藻の増殖が止まらない時
- スネールが発生してしまった時
- 化粧砂と混ざったしまった時
以上の3点のうち1つが当てはまる場合は新調した方が綺麗なレイアウトを組むことができます。特に藍藻やスネールは次のレイアウトに持ち込む要因となってしまうのでリセットしていたとしても進んで使いたいとは思いません。このような状態に陥ったソイルを寿命?だなと思ってしまいますね。