アオミドロ/糸状コケの原因と対策・除去方法|食べる魚/生体も紹介
アオミドロは水草に絡み付いてなかなか取ることができない水草水槽の天敵ともえいるコケの代表格です。何もない水槽でも水質が崩れると発生しやすい傾向にあります。
また、生体や水草をショップで購入した際に混入してしまうケースもあります。アオミドロの発生は水槽を管理する上でほぼ付いて回るコケで、アオミドロの駆除がうまく出来ないと水草が成長阻害されて枯れてしまったり、最悪破棄をしなくてはいけない場合にも陥ります。そのため原因と対策(除去)方法は予め知っておくことが良いでしょう。
アオミドロ(糸状コケ)の特徴と発生原因
アオミドロは多細胞生物
アオミドロは藻類ですが、接合藻と呼ばれいくつもの細胞が1列に繋がった多細胞生物です。水槽内に発生するサンゴ苔(カワモズクの仲間)も多細胞構造で両者ともに簡単に分解できず糸状に伸びることから除去が比較的難しいコケになります。
アオミドロの特徴としては、初期発見時は茶色に近いアオミドロで簡単にプツプツと切れホースで吸い出すことが容易です。次第に5cm程度の緑とも言えない色で漂っている状態となり、水草やレイアウト素材に絡まっている場合が多いです。この時点で水質改善を図らないとどんどん増殖してしまう傾向にあります。
段階 | 特徴 | 改善 |
---|---|---|
初期 | 茶色に近いアオミドロ | 改善しやすい |
中期 | 薄く透明な糸状のアオミドロ | 改善しやすい |
末期 | 緑色の強いアオミドロ | 改善しづらい |
茶色に近いアオミドロ
もはや茶ゴケと同時期に出現するため、アオミドロというより、茶ゴケと分類されることの方が多いです。硝酸塩(しょうさんえん)やリン酸塩が検出されるような水槽では発生しやすい傾向にあります。
濾過能力が水槽内の環境に追い付いていない状態の時に現れます。同時期には油膜も現れやすく、生体による除去はおすすめしません。エアーレーションを添加していない場合は夜間の添加を行い、水替えも合わせて行うようにしましょう。
立ち上げ以外で見られる場合は、アカムシなど水が汚れやすい餌をメインにあげている水槽や低床がソイルでなく砂利系、またはフィルターがコンパクトで濾材の量が少ない設備の時などが挙げられます。
薄く透明なアオミドロ
栄養素や有害物質である亜硝塩酸や硝酸塩などがない状態で発生するアオミドロは白〜薄い緑色をした糸状コケとして浮遊したり、水草に絡みつきます。プツプツと切れるくらい脆いものはアオミドロではなく、水カビに属するものですが、この白〜薄緑の糸状コケは色の濃いアオミドロと同じく頑丈でエビやサイアミーズフライグフォックスなどが好んで食べてくれない傾向にあります。
アオミドロの発生原因
発生原因の多くは水槽内の栄養分(窒素やリン)が多い場合にアオミドロが発生しやすいです。何も無いところからアオミドロが湧いて出る背景としては、栄養過多により水草やソイルに混ざっている休眠中の胞子が復活しているのではと考えられます。
立ち上げたばかりの水草水槽や新しい吸着性ソイルを使っている場合は過度な栄養素を大方吸収してくれるため、あまり発生しない傾向にあります。
特に水草水槽のレイアウトが落ち着いてきて、水草たちも良好に育ってきた環境下において、熱帯魚を加えた状態を維持している時に現れやすい傾向にあります。
硝酸塩が多いとアオミドロが発生する場合も
観賞魚を多く入れるとアンモニアと濾過バクテリアが反応し、硝酸塩(しょうさんえん)を生み出します。それが原因となってアオミドロを発生させてしまうことがあります。
この硝酸塩は日本の水道水にも含まれています、そのため完全に無害化した状態での水換えは実質困難です。そのため、濾過能力を高めたり、物理的除去やアオミドロ除去剤を使うといった対策が主となります。最近ではカチオンフィルターやRO浄水器を使用して不純物を取り入れないようにすることも推奨されています。
持ち込みによる増殖
アオミドロは生体や水草をアクアショップで購入した際に持ち込んでしまう場合があります。特に水草は根元や葉状に絡み付いている場合があり、それが発端となって塊が出現する場合があります。
水草を購入した際は「水草その前に」を使ってトリートメントするようにしましょう。特にこれからレイアウトを作りたい方や景観を崩したく無い方は合わせて購入しておくことをおすすめします。
生体を購入した際は水合わせを行い、「飼育水を全て取り入れない」もしくは少量だけ加えるといった対処が良いでしょう。
アオミドロ(糸状コケ)対策と除去の仕方
歯ブラシなどによる物理除去
最初は手で取れるアオミドロ/糸状コケは歯ブラシやピンセット、または手を使って取れるだけとりましょう。量によっては水草ごと抜けてしまうことがあるかもしれませんが、もはやそれは諦めるのが得策です。高価なものだったり、数の少ない水草はよく洗ってから差し戻しするのがベスト。わずかなアオミドロ/糸状コケを残すとすぐに再生し増殖してしまいます。
トリミングによる物理除去
もはや量が多すぎてアオミドロを取り残してしまう状態なら、アオミドロのない場所からトリミングをして水草後と除去してしまうのがおすすめ。景観がリセットされてしまうのは惜しいですが、トリミングだけであればダメージはそこまで高くなく、綺麗な景観を復活させやすいです。
遮光をしてアオミドロを除去する
出現してから早期の対応が理想。素手で取っても減らない状態だと長期間の車高が必要となり、水草も枯れてしまいます。水槽の遮光を実行する場合は思い切って一週間ほど行うのが効果的です。遮光を行う場合は以下のチェックリストを参照してください。
遮光をする際の事前注意 | |
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観賞魚 | 暗闇で断食状態で1週間もいると体色が落ち弱ってしまうことがあります。別の容器に移すことをおすすめします。 |
エアーレーション | 遮光状態にあると水槽内のバクテリアが酸欠を起こし、死滅してしまいます。また、水草も呼吸に必要なため、エアーレーションは必須です。 |
コケ取り生体を入れる
アオミドロ(糸状コケ)を食べる生体で代表的なのがヤマトヌマエビやミナミヌマエビです。ただ、柔らかいコケを優先的に食べるので、全て除去したい場合は数を多く入れて対処することが求められます。
また、塊となったアオミドロの場合、完全除去の難易度が上がります。サイアミーズフライングフォックスやシルバーフライングフォックスなど雑食性の高いコケ取り生体も食べてはくれますが、塊が多いと入れるだけ無駄になってしまうこともあります。
水換えを頻度多めに行うor普段から適度な水替えをする
アオミドロ発生時には水換えを繰り返し栄養素を取り除くことに専念すると解消されやすくなります。(硝酸塩は水道水にも含まれていることがほとんどなので数値を0にすることは困難。)
特に立ち上げから時間が経った水槽は栄養素が飽和しがちなので、1日あたり水槽の1/4を目安に行うのがベスト。この時、観賞魚の餌やりもできる限りストップした方が望ましいです。1週間ほど経過観察をし、アオミドロが見られなくなる、もしくは生体によって駆除できるレベルならば、水換え頻度や餌やりを元のサイクルに戻しましょう。
TDSメーターで水替えタイミングを可視化
TDSメーターを使うことで水槽内の汚れ具合(正しくは不純物の量)を数値化することができます。TDS値110以上になるとコケが発生しやすい状況と言え、150付近はコケが既にある場合もあります。
TDS値は地域の水道水によってはデフォルトで高い場合がありますが、その場合を除いてはTDSメーターで水槽内の数値を計測し、普段の状態の良い数値から上がっていないか確認して水替えを行うのが効果的です。
アオミドロ(糸状コケ)の薬品を使った除去の仕方
アンチグリーンを使ってアオミドロ除去
アオミドロ/糸状コケを除去するのに有名な薬品といえば、アンチグリーンです。観賞魚やエビ類に影響を与えることなくアオミドロ/糸状コケ、藍藻といった厄介なコケを除去することができます。ただし、一部水草はダメージを受けてしまう場合があります。
アンチグリーンの使い方
使用方法はアンチグリーンにも記載されています。初日は1Lあたり、0.06ml添加します。4日間連続で添加しますが、毎日同じ量ではなく日数×(1Lあたり0.06ml)の量を添加していく必要があります。
アンチグリーンの添加量:参考 | |
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1日目 | 1Lあたり0.06ml |
2日目 | 2日×0.06ml = 0.12ml |
3日目 | 3日×0.06ml = 0.18ml |
4日目 | 4日×0.06ml = 0.24ml |
5日以降はコケの様子を見ながら初日の量×4を2日に1回添加していきます。水換えの頻度は1週間に1度、あまりに状態が良くなければ1週間に2度、1/3の水を入れえましょう。
オキシドールを使ってアオミドロ除去
こちらはアンチグリーンと比べると除去期間が長くなります。1ヶ月〜2ヶ月を目安に見ると良いでしょう。添加量は1Lに対して0.25mlですが、アンチグリーンと同様に4日連続で投与します。日数×(1Lあたり0.25ml)の量を添加していく必要があります。
オキシドールの添加量:参考 | |
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1日目 | 1Lあたり0.25ml |
2日目 | 2日×0.25ml = 0.5ml |
3日目 | 3日×0.25ml = 0.75ml |
4日目 | 4日×0.25ml = 1ml |
5日以降はコケの様子を見ながら初日の量×4を2日に1回添加していきます。水換えの頻度は1週間に1度、あまりに状態が良くなければ1週間に2度、1/3の水を入れえましょう。
リシアやウィローモスといった根を持たない水草やショートヘアーグラスなどの葉幅の細い水草は白化してしまったり、枯れてしまう場合があるので添加量と頻度は特に注意しましょう。
アオミドロを食べる魚や生体
シルバーフライングフォックス
【名前】 シルバーフライングフォックス | |||||
【おすすめ度】 【サイズ】5cm〜15cm |
コケ類はサンゴ苔やヒゲ苔なども食べてくれるため、苔取り生体として超優秀の魚です。大きい水槽では15cmにまでなりますが30cmや45cmでの飼育の場合、大きくても8cmほどになります。性格にばらつきはありますが、小型魚との混泳もしやすいのでおすすめ。水槽サイズによって入れる数は決めるべきだが、45cm以下なら長期飼育も考慮して1匹いれば十分。
サイアミーズフライングフォックス
【名前】 サイアミーズフライングフォックス 【サイズ】5cm〜15cm | |||||
【おすすめ度】 |
シルバーフライングフォックスよりは苔を食べませんが、苔取り生体として長年人気のある品種です。個体によっては苔をたくさん食べてくれますが、食べない個体は全く食べません。
また大きくなりやすく、大きくなると他の魚を追い回したりするなどやや凶暴な一面も見られます。大型水槽でない限りは2匹程度に留めるのが無難です。
ヤマトヌマエビ
【名前】 ヤマトヌマエビ 【サイズ】3cm〜6cm | |||||
【おすすめ度】 |
ヤマトヌマエビは数が多いほどアオミドロの除去スピードが上がります。60cm水槽では100匹もいれば数日でアオミドロを除去できることもあります。メンテナンス生体として重宝しますが、いっときのアオミドロ除去のために大量に入れるとその後の食害が気になります。過剰に導入した場合は後で別の水槽に入れたり、隔離できると良いでしょう。
レッドラムズホーン
【名前】 レッドラムズホーン 【サイズ】1cm〜2cm | |||||
【おすすめ度】 |
大きくても2〜3cmほどにしかならないスネール。アオミドロを積極的に除去する能力はないものの、予防としてはおすすめできます。卵を産むスピードが早く繁殖力が高め。
レッドラムズホーンが爆殖してしまうと別の意味で景観が悪くなるので注意が必要です。合わせてスネールキラーを1匹入れておくとバランスを取ることができます。
ゴールデンアップルスネール
【名前】 ゴールデンアップルスネール 【サイズ】 3cm~5cm | |||||
【おすすめ度】 |
最大5cmにもなる大型のスネール。大きさから苔を食べる速度も早くスネール系の中でも最もコケ除去率の高い品種です。コケの予防として効果が望めるため立ち上げたばかりの時に入れておくのも良いでしょう。
ただ、大きい割に水質変化に敏感なため、水合わせは必須。また、スネールが好きな魚と混泳させると高確率で食べられてしまうのでスカーレットジェムやバジスバジスなどがいる水槽には向いていません。
チェリーシュリンプ
【名前】 チェリーシュリンプ | |||||
【おすすめ度】 【サイズ】2cm前後 |
カラーシュリンプとも呼ばれますが、チェリーシュリンプもアオミドロを食べてくれます。ただ、除去能力は高くないため、数多くいてもほぼ無意味。予防の中の予防といった具合で認識すると良いです。
ミナミヌマエビ
画像準備中 | 【名前】 ミナミヌマエビ | ||||
【おすすめ度】 【サイズ】3~4cm前後 |
ヤマトヌマエビと同様に数多く入れると数日でアオミドロを駆逐することができます。ヤマトヌマエビと違い、淡水で簡単に繁殖してしまうので多く入れた分だけ多く増えるといったことにもなります。
アオミドロ対策と除去方法まとめ
アオミドロの発生原因
アオミドロの発生原因 |
栄養素(主に窒素・リン)の飽和(亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸なども含まれる) |
光量を長時間浴びせている |
水温が高い |
アオミドロの除去方法
アオミドロの除去方法 |
手やブラシで除去 |
遮光をする(一週間目安) |
水換えを行う |
水草ごとトリミングして除去 |
コケを食べる生体を入れて除去 |
アンチグリーンを入れて除去(4日〜5日目安) |
オキシドールを入れて除去(4日〜5日目安) |
アオミドロ除去で注意したいこと
アオミドロは水草の新芽や葉が柔らかい品種よりも硬いので、苔取り生体を入れれば解決ということにはなりません。むしろアオミドロ除去のためにコケ取り生体を入れたことで「他の水草が丸坊主にされてしまう」「新芽が生えてこない」といった食害に転じてしまう事があります。そのため、おすすめのアオミドロ除去は遮光もしくは、薬品を使用した除去方法になります。