金魚やベタがなる病気の種類一覧と治療方法と薬効早見表
金魚やベタなど多くの熱帯魚がかかる病気は細菌によるもの、寄生虫によるものと様々です。それぞれの病状に合わせた薬を使って早期治療をおこなうことで病気から魚を救うことができます。
病気の種類に適さない薬を使ってしまうと病状が悪化してそのまま死んでしまったり、寿命を縮めてしまったりすることに繋がります。絶対に治すことができる病気は少ないですが、予防と早期治療の方法を知っておけば魚の命を高確率で救うことができます。
この記事では魚がかかる病気の種類と症状、治療方法、魚病薬ごとに病気に効果があるのが一目で分かる早見表を紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
魚の病気の症状一覧と治療方法・効果のある薬
白点病(ウオノカイセンチュウ)
魚の体表に白い点がつくことから白点病と言われています。体表につく白い点はウオノカイセンチュウという小さな寄生虫です。水槽の環境を改善しないと1週間ほどでウオノカイセンチュウが魚の全身をおおいます。寄生された魚は体力が徐々に低下し、やがて死に至ります。
体表に付着した寄生虫は大人になると体表から剥がれ水槽内で増殖を試みます。ただ、ウオノカイセンチュウが離れているときに薬浴をおこなっていれば寄生虫の除去が狙えます。魚に付着している時のウオノカイセンチュウには直接の効果が期待出来ないため、早期発見と対処が必要です。
白点病の治療方法と効果のある魚病薬
白点病にかかっている魚を見つけたときは水槽全体を薬浴した方が良いです。白点病の治療にはアグテンやヒコサンZ、メチレンブルー水溶液、グリーンFリキッドといった魚病薬を使用します。水草水槽で白点病を見つけたときは水草に影響がないアグテンやヒコサンZを使うのがおすすめです。
白点病は25度以下で繁殖しやすいため、28℃〜30℃の高水温にして薬浴をおこなうと早期に症状を改善することができます。白点病の初期症状および、予防策としてトウガラシも有効ですが、白点病に使う魚病薬の多くは毒性が低いためトウガラシにこだわる必要はないです。
コショウ病(ウーディニウム)
コショウ病は体表に細かい白い点がつくのが特徴です。白点病よりも目に見える点が小さく胡椒をまぶしたような姿になります。症状の進行速度やウーディニウムの繁殖力が高いため、水槽内で寄生された魚を見つけた場合は他の魚も合わせて治療した方が良いです。
コショウ病の原因である、寄生虫ウーディニウムは48時間、魚の体表で過ごすと繁殖時に水槽内をただよいます。この時に薬浴をしていればウーディニウムの撲滅が図れます。コショウ病にかかった魚を放置すると衰弱死してしまうため早期の治療が必要です。
コショウ病の治療方法と効果のある魚病薬
コショウ病の原因である寄生虫ウーディニウムは生体に寄生している間は薬浴の効果を受けません。ウーディニウムの寄生期間は1週間程度です。1週間程度すると魚の体から離れて増殖をおこないます。
魚の体から離れたウーディニウムには薬が効くので、ウーディニウムのライフサイクルを早めて薬にさらさせる必要があります。ウーディニウムは低水温では活動が弱まるので、あえて水温を上昇させます。
白点病のウオノカイセンチュウは高水温で増殖を防げるのに対してウーディニウムは活発化してしまうので薬浴を同時におこなうことは必須です。コショウ病にはアグテンやヒコサンZ、メチレンブルー水溶液、グリーンFリキッドといった魚病薬を使用します。
尾ぐされ病
尾ヒレ、背ビレ、腹ビレなどの各ヒレが擦り切れたように、バサバサした姿になってしまう症状です。常在菌であるカラムナリス菌が原因で発症するため、水質の急な変化や水質悪化によって引き起こされやすい病気です。
初期症状は自然治癒できる場合もありますが、放置しておくと、どんどんヒレが縮こまってしまい、泳げなくなったり、ストレスによって衰弱死に繋がる場合があります。
重症化すると口ぐされ病になったり、呼吸困難になってそのまま死んでしまうことがあるため油断ならない病気です。また、尾ぐされ病はミズカビ病も併発しやすいです。
尾ぐされ病の治療方法と効果のある魚病薬
尾ぐされ病の治療にはアグテン、ヒコサンZ、エルバージュエース、観パラDといった魚病薬が有効です。塩分濃度0.5%はカラムナリス菌にとっては最適な環境になりますが、魚のストレスを減らすことを考えると塩浴は絶対にダメとは言い切れません。
塩浴だけおこなうのではなく、薬浴を同時におこなうことが必要です。水温は28℃前後が最適温度になるため、水温は22℃〜25℃にして治療をおこなうと良いです。
口ぐされ病
口ぐされ病は水槽内に常在するカラムナリス菌が原因で発症する病気です。急な水質変化や悪化、外傷などがある場合にかかりやすいです。
症状が悪化すると口元が崩れてしまい、餌を食べられずに衰弱死してしまいます。初期症状は尾ぐされ病のようにヒレが擦れたり白くにごったりするのが特徴です。異変を感じたら薬浴をおこなって治療をはじめましょう。
口ぐされの治療方法と効果のある魚病薬
口ぐされ病の治療にはエルバージュエース、観パラDといった魚病薬が有効です。アグテンやヒコサンZもカラムナリス菌に効果がありますが、口ぐされ病はかなり重度な病気なので薬効の弱い薬では改善が見込めない可能性が高いです。
塩分濃度0.5%はカラムナリス菌にとっては最適な環境になりますが、魚のストレスを減らすことを考えると塩浴は絶対にダメとは言い切れません。塩浴だけおこなうのではなく、薬浴を同時におこなうことが必要です。水温は28℃前後が最適温度になるため、水温は22℃〜25℃にして治療をおこなうと良いです。
ポップアイ
ポップアイは眼球の眼圧があがり、目が飛びでた状態になります。ポップアイは目が水ぶくれのようになったり、目の向きが上や下に向いたりするので魚の姿に違和感を感じたらポップアイを疑ったほうが良いです。
ポップアイは眼圧が強いと目の周りの細胞が死んでしまい、最悪の場合目がとれます。また、治療が遅れると目が元に戻らないこともあります。
ポップアイの原因と注意点
ポップアイの原因はエロモナス菌という水槽内に、ふだんからただよう細菌が感染して発症します。ふだんからただよう細菌を常在菌(じょうざいきん)と言いますが、健康的な魚はエロモナス菌には感染しません。
水質が悪い状態が続いたり、水温の上下動が激しいとストレスによって魚の免疫が落ちてエロモナス菌に感染し、ポップアイを発症してしまう可能性が高まります。エロモナス菌はポップアイだけでなく、ウロコが充血する赤斑病やウロコが逆立つ松かさ病など死に至る病気につながるので早期治療と状況の改善が必要です。
ポップアイの治療方法と効果のある魚病薬
ポップアイはエロモナスハイドロフィラという菌が原因になるのでエルバージュエースや観パラD、グリーンFゴールドリキッドを使用します。
ポップアイは他の魚にもうつる可能性があるため、ポップアイの疑いがある個体、ポップアイになった個体は隔離して治療する必要があります。
魚病薬を使うときは塩浴も合わせておこなうと回復する可能性を上げることができます。悪化して肥大してしまった目を根本的に戻すことはできないと考えた方がよいです。
水カビ病
水カビ病はわたかぶり病とも呼ばれ、魚の体表にワタのようなものが付着するのが大きな特徴です。ミズカビが寄生すると寄生した部位から細胞を破壊して死に至らしめる。水カビ病にかかると食欲がなくなっていき、次第に泳ぐ力もなくなってしまう。
水カビ病の原因と注意点
水カビ病は真菌類のミズカビが原因によって引き起こされる病気です。体表に擦り傷などの外傷があるときに感染しやすいです。また、水質悪化や水温の急変によって魚の免疫力が落ちたときにも感染しやすいといわれています。
健康的で水質も安定しているときはほとんど発症することはありません。
水カビ病は魚だけでなく魚の卵にも付着することがあります。水カビがついた卵は孵化する可能性が下がってしまうので、卵のときだけはカルキ抜きをせずに水カビを予防するといった工夫が必要になります。
水カビ病の治療方法と効果のある魚病薬
水カビ病の治療にはメチレンブルー水溶液やグリーンFリキッドを使用します。水槽にただようミズカビを除去する効果があり、付着したミズカビを除去することはできません。魚に付着するミズカビが大きければ体に傷をつけないように濡れた綿棒やピンセットで物理的に取り除きます。
濡れたティッシュの上に魚を乗せると飛び跳ねを防止できるので、ミズカビを取り除きやすくなります。取り除いた部分やミズカビが付着するところにはメチレンブルー水溶液やグリーンFリキッドを10倍に薄めた薬液を直接塗ると効果的です。人間用のイソジンを10倍に薄めた希釈液を塗ることも効果的です。
エラ病(エラぐされ病)
エラぐされ病やエラ病は感染ルートによって表現や治療法が少しちがいます。エラ病とエラぐされ病はどちらも魚の呼吸器官に影響を与える病気です。エラ病(エラぐされ病)になった魚は酸欠状態になり、常に水面をパクパクさせたり、水槽の底でじっとして動かなくなるといった行動が見られるようになります。症状が悪化するとエラ部分が赤く腫れることもあります。
カラムナリス菌によるエラ病(エラぐされ病)
尾ぐされ病やネオン病の原因にもなるカラムナリス菌によってエラ病(エラぐされ病)が発症することがあります。カラムナリス菌は15度前後の水温で発生し、28度前後で大繁殖します。温度差によって魚の免疫が落ちた時にかかりやすいのでふだんから水温の管理は重要になります。
カラムナリス菌によるエラ病(エラぐされ病)だった場合、高水温にするとかえって症状が悪化するので20度〜22度あたりを目安に管理すると良いでしょう。カラムナリス菌には塩が有効なので、塩浴と合わせてグリーンFゴールドや観パラDを使って治療しましょう。
寄生虫によるエラ病(エラぐされ病)
春から夏にかけて繁殖しやすいダクチロギルス、秋から春にかけて繁殖しやすいギロダクチルスという寄生虫によってエラ病が引き起こされることがあります。
これらの寄生虫は魚の粘膜を食べて成長するため、吸血症とも呼ばれます。ダクチロギルスは高水温を好み、ギロダクチロスは低水温を好むので治療方法がちがう点に注意が必要です。
どちらもグリーンFゴールドや観パラDや塩浴で駆除することはできません。有効成分であるトリクロルホンを配合した寄生虫に効果的なトロピカルNを使って薬浴をする必要があります。
イカリムシ病
イカリムシ病の原因と注意点
イカリムシは魚に寄生する寄生虫です。イカリムシに寄生されると、寄生された鱗部分が充血したり、コブのようにもりあがったり、狂ったように泳ぎ回ったりします。
イカリムシは3mm〜12mm程度の棒状のような紐のような姿で確認できるので、肉眼でも簡単に見つけることができます。
初期症状ではイカリムシのサイズが小さいため白点病のように見えることがあります。小さなひも状に見えるイカリムシの発見や鱗に傷があるときはイカリムシ病を疑いましょう。また、身体をこするような行動や異常な泳ぎを確認した時は治療を開始した方が良いです。
イカリムシは15度以上の水温になると出現する寄生虫です。冬場は魚に付着して越冬し、暖かくなると活発化します。したがって池で飼育している場合は春先にイカリムシが増えないように魚病薬を使って駆除した方が良いでしょう。
夏場に魚病薬を使用すると気温と水温の高さによって毒性が生じてしまうので、気温が上がりすぎず、イカリムシの活動が始まる春先におこなうのが1番おすすめです。
イカリムシ病の治療方法と効果のある魚病役
イカリムシは卵、幼体、成体と3つの区分に分けられます。イカリムシの駆除をするためには魚病薬であるトロピカルNやレスバーミンを使う必要がありますが、これらの魚病薬は幼体に効果があり、成体には効きません。
そのため育った成体のイカリムシはピンセットで駆除する必要があります。イカリムシの寿命は2ヶ月程度です。イカリムシの幼体が育ち寄生する前に水槽内のイカリムシを根絶することが根本的治療方法となります。
抗菌剤も合わせて使用する
抗菌剤とは外傷の傷から別の感染症を発生させないために傷消毒に使う魚病薬です。抗菌剤にはエルバージュエースや観パラDを使用します。ピンセットで取り除いた部位は外傷がさらされることになるので水カビ病の原因菌や穴あき病の原因菌であるサルモニシダ菌、ハイドロフィラ菌がつかないように抗菌剤の使用が必須です。
運動性エロモナス症
運動性エロモナス症とはエロモナスハイドロフィラによって引き起こされる病気の総称になります。松かさ病、赤斑病、ポップアイはエロモナス症です。総合的に共通する初期症状は食欲の低下や軽度のポップアイ、腹部の膨張です。
エロモナスハイドロフィラは水槽内に必ずいる常在菌と呼ばれる菌の一種です。エロモナス症を発症する原因は過度な水質悪化、水温差によるストレス、その他原因のストレス、外傷があるといったことになります。
運動性エロモナス症の治療方法と効果のある魚病薬
エロモナス菌は重症化すると完治できない難病なため、治療は早期に行う必要があります。また、魚の自己治癒力をあげるために塩浴を同時におこなうことをおすすめします。
運動性エロモナス症の治療にはエルバージュエースや観パラD、グリーンFゴールドリキッドを使用します。
根本的な治療の難易度は高いので予防することが最も大切です。先にあげた魚病薬はあくまで抗菌剤でしかありません。
転覆病
転覆病にかかるとまっすぐ体を立てて泳ぐことができなくなります。軽度の症状では身体をななめにして泳いだり、深くもぐるのに一生懸命になったりする行動を見せます。
転覆病には生まれつきなってしまう先天性と餌の消化不良や臓器不全が原因で発症する後天性があります。先天性の場合は、治療をおこなっても治せないことが多いです。後天性の転覆病の場合は、早期治療をおこなうことで治せる可能性があります。
ひっくり返ったまま元に戻ることができない状態は重症化していることがほとんどで回復させることがむずかしいです。転覆病はすぐさま死につながる病気ではないため、転覆したまま長生きする魚もいます。
転覆病の治療方法と効果のある魚病薬
転覆病を治せる魚病薬はありません。
転覆病の改善には水温を25度以上にして代謝をあげる、塩浴をおこなってストレスをやわらげるといった方法が効果的です。
特に金魚は低水温で飼育していることが多いため、ひっくり返るようになってから間もないときにヒーターで水温25度〜28度を高め代謝をあげることで症状が良くなることがあります。
治療をするよりも転覆病にならないように餌の与える量や与える時間(消灯時間の2時間前)に気をつける必要があります。また、古い餌や酸化してしまった餌はなるべく与えないようにすることが肝心です。
穴あき病
穴あき病はエロモナスサルモニシダと呼ばれる菌によって引き起こされる病気です。最初はウロコが充血する様子が確認でき、悪化するとウロコがはがれ落ち筋肉が見えるようになります。さらに悪化すると筋肉もボロボロとはがれ落ちて骨や内蔵が見えてきます。ここまで症状が悪化するとほぼ助かりません。
穴あき病はコイやフナ(金魚)などがかかりやすいですが、シクリッド系の魚であるオスカーやベタなどもかかります。
穴あき病は他の魚にも感染するため発見した時は隔離して治療することが必要になります。
穴あき病の治療方法と効果のある魚病薬
穴あき病は重症化すると治療することができないため、早期発見と治療が必要になります。穴あき病の疑いがある魚は直ぐに隔離して治療を始めましょう。
飼育環境が悪いと続々と穴あき病にかかる魚が現れる可能性があるので水換えと薬浴を健康な魚にもおこなうことをおすすめします。
穴あき病の原因菌であるエロモナスサルモニシダは32℃〜34℃で成長が止まることが確認されています。
治療する環境は飼育環境としてはかなり高水温になるので、普段から15℃〜20℃の低水温で生活している魚は急な水温変化によるストレスを与えないために、1日に最大で5℃程度を目安に水温を上げます。1日目は25℃まで上げる、2日目は30℃まで上げる、3日目で34℃にするといった具合で、3日かけて治療できる環境がつくれるようにしましょう。
穴あき病に効果がある魚病薬は観パラDエルバージュエース、グリーンFゴールドリキッドを使用します。魚の自然治癒力の向上や生活ストレスを軽減させるためにも塩浴を同時におこなうこともすすめられています。
松かさ病(立鱗病)
松かさ病にかかると、松かさのようにウロコがさかだったようになります。別名は立鱗病(りつりんびょう)と言います。
松かさ病の初期症状はウロコが浮いているような状態になります。悪化していくと体が腫れていき、ウロコがさらにさかだっていきます。
食欲が減っていき、やがて餓死します。エロモナス菌が原因のため、目が飛び出るポップアイや体が充血し悪化するとウロコがはがれ落ちてしまう赤斑病も発症する可能性があります。
松かさ病の治療方法と効果のある魚病薬
松かさ病はエロモナスハイドロフィラという菌が原因になるのでエルバージュエースや観パラD、グリーンFゴールドリキッドを使用します。
松かさ病は他の魚にもうつる可能性があるため、松かさ病の疑いがある個体、松かさ病になった個体は隔離して治療する必要があります。
魚病薬を使うときは塩浴も合わせておこなうと回復する可能性を上げることができます。松かさ病は治ることが保証されていない病気なので治療するよりも水質悪化ストレスによって松かさ病にならないようにする予防が大切です。
魚の薬の薬効と効果のある病気一覧
アグテン
効果のある病気 | 白点病、コショウ病、尾ぐされ病、水カビ病 |
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薬効 | 1日〜2日 |
アグテンは白点病やコショウ病、尾ぐされ病、水カビ病に効果のある薬です。10Lに対して1mlの添加をします。効果は1日〜2日で消えるため、毒性は弱めで初心者でも扱いやすいのが特徴です。アグテンは水草のある水槽で使用しても水草が枯れることがほとんどありません。
ヒコサンZ
効果のある病気 | 白点病、コショウ病、尾ぐされ病、水カビ病 |
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薬効 | 1日〜2日 |
ヒコサンZは白点病やコショウ病、尾ぐされ病、水カビ病に効果のある薬です。10Lに対して1mlの添加をします。効果は1日〜2日で消えるため、毒性は弱めで初心者でも扱いやすいのが特徴です。アグテンは水草のある水槽で使用しても水草が枯れることがほとんどありません。
メチレンブルー水溶液
効果のある病気 | 白点病、コショウ病、尾ぐされ病、水カビ病 |
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薬効 | 5日〜7日 |
メチレンブルー水溶液は白点病やコショウ病、水カビ病に効果のある薬です。10Lに対して2.5mlを添加します。効果は5日ほどもち、水が青色になります。
アグテンやヒコサンZはマカライトグリーン液をつかっているため水草にも影響が少ないですが、メチレンブルー水溶液は水草に影響があり、水草のある水槽で使うと水草が高確率で溶けたり枯れたりします。
グリーンFリキッド
効果のある病気 | 白点病、コショウ病、尾ぐされ病、水カビ病 |
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薬効 | 5日〜7日 |
グリーンFリキッドはメチレンブルーとアクリールという成分を配合した魚病薬です。白点病やコショウ病、水カビ病に効果のある薬です。また、病気のほかに擦り傷などの外傷のケアにも効果があります。
グリーンFリキッドは10Lあたり8.3mlを添加します。水草のある水槽で使用すると水草が溶けたり枯れたりするので隔離した水槽で使うようにしましょう。
グリーンFゴールドリキッド
効果のある病気 | 穴あき病、ポップアイ、松かさ病(立鱗病)、赤斑病 |
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薬効 | 1日〜2日 |
グリーンFゴールドリキッドは運動性エロモナス症に効果があるオキソリン酸を配合した抗菌薬です。穴あき病、ポップアイ、松かさ病(立鱗病)、赤斑病になった時に使いましょう。
毒性がマカライトグリーン液(アグテンやヒコサンZ)やメチレンブルー水溶液(グリーンFリキッド)と比べて高いので用法用量は十分気をつける必要があります。
グリーンFゴールドリキッドは10Lに対して10ml添加します。薬効は10日〜14日ありますが、薬浴期間の目安は1週間です。症状が改善しないときは、飼育水の衛生をたもつために水換えをして再び経過観察をする必要があります。水換えをしたときは、抜き取った水の分だけ希釈した薬液を入れましょう。
症状の軽い魚やエロモナス症の疑いがある魚は1週間の薬浴ではなく、4時間程度の薬浴をした後に飼育水槽に戻します。
弱酸性(pH5以下)で使用すると成分が分解され水が白濁してしまうので注意してください。
グリーンFゴールド顆粒
効果のある病気 | 穴あき病、ポップアイ、松かさ病、赤斑病、ネオン病、腹水病、皮膚病、傷のケア |
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薬効 | 5日〜7日 |
グリーンFゴールド顆粒はグリーンFゴールドリキッドとは全く成分がちがう薬です。
グリーンFゴールドリキッドはニトロフラゾンとスルファメラジンナトリウムという成分を配合しており、バクテリアや細菌類で発症するエロモナス症(穴あき病、ポップアイ、松かさ病(立鱗病)、赤斑病)の除去、皮膚病に効果があります。
グリーンFゴールド顆粒は水草への影響がないため、水草のある水槽で使用しても問題ありません。魚の病気だけでなく、粘り着いたコケである藍藻を駆除するのにも使うことができます。
グリーンFゴールドリキッドはエロモナス菌の除去に使われるオキソリン酸を配合したグリーンFゴールドリキッドや観パラDを使用して改善されなかったとき、ニフルスチレン酸ナトリウムを配合したエルバージュエースで改善がみられなかったときに使うと良いとされています。
グリーンFゴールド顆粒は粉末状になっていて、2gの容量で80L分になります。隔離水槽では80Lよりも小さい水槽で使用することがほとんどなため、粉の分量を測って入れることは不可能です。小さい水槽で使用するときは、2Lペットボトルで原液を作った後に1Lに対して25ml添加して使います。薬浴期間は5日〜7日を目安にします。
エルバージュエース
効果のある病気 | 穴あき病、ポップアイ、松かさ病、赤斑病、ネオン病、腹水病、尾ぐされ病、口ぐされ病、エラ病 |
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薬効 | 3日〜5日 |
エルバージュエースはニフルスチレン酸ナトリウムを配合した薬で、エロモナス症(穴あき病、ポップアイ、松かさ病(立鱗病)、赤斑病)やカラムナリス菌が原因で起きる尾ぐされ病や口ぐされ病、エラ病に効果があります。
エルバージュエースは5gの粉末で小分けされており、1袋で500L分になります。小さい水槽ではそのまま使用することができないため、薬についてくる0.5gスプーンを使って500mlか2Lペットボトルで原液を作ります。原液を作ったあとに1Lあたり8ml(500mlペットボトルで作ったとき)を添加します。
薬の効果が高いため、薬浴の目安は3日〜5日程度になります。
観パラD
効果のある病気 | 穴あき病、ポップアイ、松かさ病、赤斑病、ネオン病、腹水病 |
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薬効 | 10日〜14日 |
観パラDはオキソリン酸を配合したエロモナス症(穴あき病、ポップアイ、松かさ病(立鱗病)、赤斑病)に効果のある薬です。薬効はエルバージュエースよりも弱いですが、10Lに対して1mlの添加でよいので、初心者でも扱いやすい魚病薬です。
薬浴期間の目安は2週間程度です。水質の状態を良好に保つために水換えをおこったときは、飼育水を抜いた分だけ希釈した薬液を混ぜる必要があります。
観パラDを使用するときは塩浴もあわせておこなうことで病気からの回復が期待できます。
トロピカルN
効果のある病気 | イカリムシ病、エラ病 寄生虫の除去 |
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薬効 | 1日〜2日 |
トロピカルNはアクリノールとトリクロルホンを配合した薬でイカリムシ病やエラ病の原因となる寄生虫の除去に効果が期待できます。トロピカルNの効果が発揮されるのは寄生している寄生虫ではなく、寄生する前の幼体の寄生虫になります。
トロピカルNは10Lに対して0.1mlの添加をします。小型水槽では0.01mlで計測できるシリンジやスポイトがあると使いやすくなります。
トロピカルNは水温が30℃以上になると毒性が強くなるため夏場の使用は注意が必要です。
レスバーミン
効果のある病気 | イカリムシ病、エラ病 寄生虫の除去 |
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薬効 | 10日〜14日 |
レスバーミンはイカリムシやエラ病に効果のある薬です。脱皮羽化をする生体に効果が高く、脱皮不全をおこさせて撃退します。
ユスリカやチョウバエの駆除にも役立つのでビオトープに使用するのもおすすめです。エビやカニなどの甲殻類のいる水槽で使用すると致命的な影響を受けるので使用は避けましょう。
レスバーミンは粉末になります。付属する軽量スプーンはすりきりで1.5gあり、希釈すると150L分になります。小さい水槽ではそのまま使用することができないため、薬についてくる1.5gスプーンを使って2Lペットボトルで原液を作ります。原液を作ったあとに1Lあたり0.01mlを添加します。
魚の病気と薬の治療法早見表
アグテン | ヒコサンZ | メチレンブルー 水溶液 | グリーンFリキッド | グリーンFゴールド リキッド | グリーンFゴールド顆粒 | エルバージュエース | 観パラD | トロピカルN | レスバーミン | |
白点病 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – | – | – | – | – |
コショウ病 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – | – | – | – | – |
尾ぐされ病 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – | ◯ | – | – | – |
ポップアイ | – | – | – | – | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – |
水カビ病 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – | – | – | – |
エラ病 エラぐされ病 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – | ◯ | – | ● | ● |
イカリムシ病 | – | – | – | – | – | – | – | – | ◯ | ◯ |
運動性エロモナス病 | – | – | – | – | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – |
転覆病 | – | – | – | – | – | – | – | – | – | – |
穴あき病 | – | – | – | – | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – |
松かさ病 | – | – | – | – | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – |