緑髭苔の原因と対策・除去方法や食べる生体(魚)を徹底解説
緑髭苔は髭のようにフサフサした緑色のコケ(藻)で根元からしっかり活着する厄介な髭苔の一つです。緑髭苔に直接的な害はありませんが、放っておくと希少性のある水草に付着してしまい、除去するときに傷をつけてしまうリスクを背負ったり、水槽の景観が損ねるといったデメリットがあります。
緑髭苔は水質改善による緩やかな除去が理想的ですが、なるべく早く除去したいときはオキシドールや木酢液を吹きかけたり塗布することが有効です。ただし、添加量を間違えると生体や水草に影響が与えてしまうので正しい用量を知っておく必要があります。この記事では緑髭苔の原因や発生させない対策、除去する方法について解説していきます。
緑髭苔とは
緑髭苔類はどんな水槽にも発生する可能性のある紅藻類です。発生原因にはリン酸や硝酸塩、硬度、TDSといった数値を目安にして基準よりも高い時に現れるとされています。茶ゴケなどのメラミンスポンジで取り除くことができるコケよりも強靭でなかなか除去できず、見栄えも悪くなることから厄介に感じるアクアリストが多いコケです。
緑髭苔は黒色になることはありませんが、透明な髭苔は徐々に黒くなっていきます。
緑髭苔はマリモのような姿なのでそのままにしておいてもレイアウトに使うこともできます。ただし、局所的に生えると見栄えは悪いです。
着生力が非常に強く、並のピンセットやブラシでは除去することはできません。流木の質によっては流木を削らないと取れないこともあります。
上記は透明な髭苔の写真です。水苔や水カビならプレコやエビが食べてくれますが、透明な髭苔の場合、食べてくれない決定的な違いがあります。
透明の段階では着生力は弱めで、放置すると徐々に黒くなります。
緑髭苔の発生原因
リン酸が多いと発生
リン酸は魚の餌や水草の肥料、栄養系ソイル、水道水に含まれている成分です。リン酸は悪い物質ではなく、水草の成長においては必要な栄養素の1つです。水草に必要な三大栄養素は窒素、リン酸、カリウムです。
リン酸は必要な栄養分ですが、リン酸が多いと余計な苔を発生させる原因につながります。緑髭苔もリン酸が原因で生まれる苔の1つです。
リン酸は栄養系ソイルのADAアマゾニアにも含まれているため、水槽を立ち上げたばかりで生体がいなくても髭苔が発生することがあります。水槽立ち上げ時に水換えをした方が良いと言われる理由の1つがこれにあたります。
ちなみに使用率の高いソイルである、JUNのプラチナソイルやGEXの水草一番サンドはリン酸が含まれていないので立ち上げ初期で髭苔が発生することは少ない傾向にあります。
硝酸塩が多いと発生
硝酸塩(ショウサンエン)はアンモニアがバクテリアによって分解され亜硝酸になり、さらに分解されて硝酸塩となります。つまり、魚のフンや餌が原因で発生する物質です。硝酸塩の除去は水換えが初心者から上級者まで共通してできる方法です。
硝酸塩の数値が高いと苔が生えやすくなります。魚が多くいる水槽や餌の量が多い水槽では硝酸塩が溜まりやすく、苔が生えやすいです。
硬度が高い水槽で発生
硬度のある水槽ではミネラルなど豊富に含んでいるため、緑髭苔やサンゴ苔といった硬い苔が発生しやすくなります。硬度が高い水槽はTDSの値が高い傾向にあるのでTDS値を測って水換えのタイミングを知るのも1つの手段です。
住んでる地域によっては元々硬度やTDS値が高いので、水草や魚の飼育環境に適した状態にできる濾過剤や浄水器の導入が求められます。龍王石や青華石といった硬度が高くなりやすい石を使ったレイアウトでも同様のことが言えます。
緑髭苔の除去と予防のしかた
オキシドールを直接かける
オキシドールが一部の水草や流木に付着してしまった時に有効な手段の1つがオキシドールを緑髭苔に直接かける方法です。
ただし、1回に使用して良い量は1Lに対して0.25mlになります(当サイト検証値)。それ以上の量を添加すると一部の水草が溶け始めたり、小さな生体に影響を与えてしまうことがあります。
直接噴射すると気泡を出して徐々に消滅していきます。継続的に添加することで完全除去をすることも可能です。当サイトでは8日〜9日間の添加で改善しています。
木酢液を塗る
流木に広範囲で緑髭苔が付着してしまった場合や、水槽から取り出しが可能なレイアウト素材、機材に付着した緑髭苔を除去したい時に木酢液は有効です。
基本的にはレイアウト素材を取り出し、木酢液を原液のまま塗布します。塗布してから時間が経過すると緑色から赤茶色に変化していきます。水槽に戻した木酢液を塗った緑髭苔はエビなどの苔を好む生体が食べてくれます。
薄めた木酢液を水槽に添加する方法もある
木酢液を1Lに対して1ml〜3mlを添加することで黒髭苔を除去することができます。ただし、生体にも影響が出るので原則としては緑髭苔に直接塗布するやり方が望ましいです。
緑髭苔を食べる生体を入れる
緑髭苔を積極的に食べる生体はかなり少なく数える程度しかいません。ヤマトヌマエビは木酢液やオキシドールで弱体化させることで食べてくれますが、薬剤を使用しない時は食べません。
水換えをする
水換えは緑髭苔が発生してしまった直後や黒髭苔が発生する前に頻繁におこなうことが大切です。除去の手段の1つであり、予防策でもあります。
硬度/TDSを下げる
硬度・TDSが高いと緑髭苔やサンゴ苔が発生する可能性があります。1つの目安としてTDSが110を超える時は水換えをおこなった方が良いでしょう。
水換えで数値を下げる以外にはカチオンフィルターを使う、RO浄水器を使う、カチオンバッグを使う、ゼオライトを使うといったことが挙げられます。
リン酸除去剤を使用する
リン酸除去剤は濾過槽にリン酸を吸着する濾過剤を入れることでリン酸を除去できる商品です。有名な商品ではリン酸除去剤がありますが、エーハイムのフィルターでなくても使用することができます。硬度を下げるよりも効果が望めるので除去と予防の両面から導入してみるのも良いでしょう。
手でむしり取る(テデトール)
SNSでは手でむしり取ることを商品名のようにテデトールなんて言ったりしますが、局所的に発生した緑髭苔はピンセットや手で根元から取ってしまった方が早く解決することがあります。
手でとる以外には硬めのブラシで擦って削ぎ落とすことも有効です。この時に歯ブラシでは削ぎ落とすことが難しいのでワイヤーブラシを使用することをおすすめします。
削ぎ落とした緑髭苔はできるだけ水槽から取り除かないと拡散する可能性があります。
緑髭苔を食べる魚やエビ
シルバーフライングフォックス
シルバーフライングフォックスは率先して食べてくれることが多く、導入して後悔することが少ない魚です。水槽サイズに合わせて入れる数を調整しましょう。手入れの行き届いている水槽なら60cmレギュラーまでで1匹いれば充分です。
サイアミーズフライングフォックス
2018年頃まで髭苔といえばサイアミーズフライングフォックスと言われるくらいメジャーな対策生体でしたが、シルバーフライングフォックスの方が取り上げられることが多くなったことで以前より人気はなくなりました。
その理由としてはサイアミーズフライングフォックスは個体によって全く食べない、大きくなると他の魚を追い回すといった理由が挙げられます。
60cmまでの水槽なら1匹いれば充分ですが、緑髭苔を食べてくれない個体の場合、対策生体ではなく、ただの観賞魚となるのでご注意ください。
ヤマトヌマエビ
ヤマトヌマエビはオキシドールや木酢液を塗布してダメージを与えた髭苔を食べてくれます。人為的に髭痩けを弱らせない限り食べることは滅多にありません。髭苔の成長過程であっても食べないことが多いです。
黒髭苔をオキシドールで除去する流れ
用意するもの
- オキシドール
- シリンジ(0.01刻みが理想)
用意するものはシンプルです。シリンジは0.01ml刻みで測れるものが理想ですが、0.1mlずつのものでも活用できます。オキシドールはドラッグストアやスーパーで100円〜500円で購入できます。シリンジは100円ショップやアクアショップで購入できます。
オキシドールを使った緑髭苔除去の流れ
水槽のサイズに合わせてオキシドールの添加量を決めるため水量の確認は必ずおこなってください。大きい水槽で局所的にオキシドールを吹きかける場合は1回あたりの量を1mlとして、水量を考慮しなくても良いです(4L以上を想定)。
水量(L)×0.25mlのオキシドールを使用します。10Lの水量なら2.5mlの使用になります。量が少なく感じるかもしれませんが、多く入れると急に水草や生体が調子を崩すので油断しないようにして下さい。
1日目、2日目、3日目は当日に入れた量分だけ上乗せして入れていきます。1日目が1mlだったとしたら2日目は2mlです。4日目からは3日目に入れた量を継続的に入れていきます。
4日目以降は緑髭苔がオキシドールによって白化するまで毎日添加していきます。水換えを途中でおこなっても問題ありません。できれば水換えをした後にその日分のオキシドールを添加する方がよいです。
黒髭苔によくある質問
- 緑髭苔に害はありますか?
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髭苔には害がありませんが、ブセファランドラといった希少性があり硬い水草にこびりついてしまうことがあります。一度着いてしまうと取り除く際に水草を一緒に弱めてしまったり傷つけるリスクがあるのでできるだけ早めに除去するか予防をしたいところです。除去と予防については「緑髭苔の除去と予防のしかた」をご確認ください。
- 緑髭苔の発生原因を教えてください
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緑髭苔の発生原因はつ挙げられます。
軟水にするお手軽グッズ
水草水槽に使われる水草の多くは硬度の低い軟水を好む傾向が強いです。
そのため、住んでる地域によっては綺麗に育てられず、溶けて枯れてしまったり、発色が良くならないという経験をしている人も多いのではないでしょうか。
すでに水道水の硬度が高い地域の人は対策としてADAのカチオンフィルターを導入していることでしょう。
しかし、設置できる水道が家になかったり、予算の都合から買えない人も珍しくありません。そんな人でも手軽に水槽の硬度を改善できるイオン交換樹脂グッズを紹介します。
純水精製用イオン交換樹脂
WaterPlantsWorld
外部フィルターなど大きめな濾過槽に入れて使用するイオン交換樹脂バッグです。容量が多いためそこそこ長持ちする商品ですし、手入れも簡単なのでおすすめです。
イオン交換樹脂のまとめ売りというべきでしょうか。こちらは100均などで売られているお茶バッグに入れて使用するとコスパが良い商品です。アクアメーカーのものよりも格段に安いので長期にアクアリウムを楽しむ方は断然おすすめです。