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シルバーフライングフォックスは銀色に輝く網目模様が特徴的なコイ科の淡水魚です。サイアミーズフライングフォックスよりもコケ取り性能が高いことでSNS上では2021年ごろに話題となりました。見た目や大きさもサイアミーズと近いです。
本記事ではシルバーフライングフォックスを実際に飼育し、他の魚にどのような影響があったのか、水草への食害はあるのかについて紹介しています。参考にご覧ください。
シルバーフライングフォックスの情報 | |
---|---|
分類 | コイ科 コイ目 |
学名 | Crossocheilus reticulatus |
別名 | アイスポットアルジイーター レティキュレートフライングフォックス |
大きさ | 16〜17cm |
寿命 | 5年〜10年 |
育成難易度 | |
温度 | 16〜28度 |
水質 | 6.0〜9.0 |
硬度 | 1〜8 |
繁殖 | 不明 |
参考価格 | 150円〜 |
サイアミーズフライングフォックスは雑食性に対してシルバーフライングフォックスは草食系よりの淡水魚です。そのため、フレークなどをあげても個体によっては気にせず苔を食べ続けます。主に苔を駆除する生体として導入されることが多いので手間がほとんどかからないのはありがたいところ。
サイアミーズもヒゲ苔を食べることで有名ですが、人口餌のおいしさに気づいてしまうと食べなくなってしまいます。一方でシルバーフライングフォックスは率先して苔を食べてくれます。ほとんどの魚やエビが手を出さないサンゴ苔も食べすすんでくれます。
体表は網目模様が特徴的でカタカナにすると”アミメニシキフライングフォックス”となるとか。また、サイアミーズなどと違い身体に黒いラインはなく、尾筒(尾鰭の付け根)部分に黒斑がワンポイントあります。
シルバーフライングフォックスは仰向けの状態で苔を食べるなどアクロバット水泳をします。そのため、一瞬、「死んでしまった!?」と思う場面も多いです。
シルバーフライングフォックスを購入した場合、ショップからの持ち帰りでも通販でも、まずは水合わせが必要です。水合わせとは飼育環境とショップなどでの管理環境における水質をできるだけ合わせることを指します。
上記は水合わせの簡易的な一例になります。PHをより正確に慎重に合わせストレスを軽減させたい場合は点滴法とってエアチューブを使って飼育水槽から購入した袋へ一滴ずつ水を送り込んで調和せる方法がおすすめです。
シルバーフライングフォックスは草食系よりなため、フレークにもほとんど興味を示さず、苔を一生懸命食べる個体も存在します。苔が豊富な水槽では餌を与えずとも丸々と太ることもあります。当たり前ですが苔の多い水槽の方が成長速度は比較的早いです。
シルバーフライングフォックスは苔が豊富な環境下であると周りを気にせず自由に泳ぐことが多いです。ですが、苔の少ない環境だと他の魚を追い回す姿を多々見受けられます。
また、二匹以上にした場合も仲良く泳ぐ一面を見られる一方で小競り合いをすることもあります。
ラミノーズテトラが追いかけられすぎてボロボロにされちゃいました…。
ヤマトヌマエビほどになると食べられることはありませんが、ヤマトヌマエビ相手でも後ろからゆっくり追いかけ小突く姿が見られました。隠れ家があれば、エビはそこへ逃げますが、隠れ家ない場所だと水槽外に追いやられたり、ストレスで死んでしまうなんてことも起きかねません。
チェリーシュリンプなどの小さいエビとの混泳は避けた方が良さそうです。
シルバーフライングフォックスは購入時の輸送によるストレス、新環境で落ち着かないストレスによって体色が薄くなる場合があります。体色が薄くなる現象はシルバーフライングフォックスに限ったことでなく、他の魚でも起こる現象です。早ければ30分程度で色が戻る場合もあれば、数時間経たないと色が戻らない場合もあります。
導入時以外で体が白い場合は体調不良や何かの病気のシグナルの可能性があります。注視し、泳ぎ方がおかしかったり鰭に異常がある場合は塩浴や薬浴をするために隔離をしましょう。
シルバーフライングフォックスはストレスによる急死や病気による弱体化による死が発生することがあります。以下の病気は熱帯魚が罹りやすい病気なので参考にご覧ください。
シルバーフライングフォックスとコケ除去に有名な品種をそれぞれ比較した表になります。
サイアミーズ | シルバーフォックス | |
アオミドロ | ||
茶ゴケ | ||
ガラス面 | ||
黒髭苔 | ||
緑髭苔 | ||
サンゴ苔 | ||
水カビ | ||
藍藻 |
モーリー | シルバーフォックス | |
アオミドロ | ||
茶ゴケ | ||
ガラス面 | ||
黒髭苔 | ||
緑髭苔 | ||
サンゴ苔 | ||
水カビ | ||
藍藻 |
オトシンクルス | シルバーフォックス | |
アオミドロ | ||
茶ゴケ | ||
ガラス面 | ||
黒髭苔 | ||
緑髭苔 | ||
サンゴ苔 | ||
水カビ | ||
藍藻 |
体長が最大で15cmを超えてくる魚のため、30cm未満の水槽では入れることは不可能に近いです。小さい時に入れていても大きい水槽が必ず必要になってきます。
その点を考えると45cm以上の水槽であっても大きくなることを考慮してシルバーフライングフォックスを導入しないと後に後悔することになるでしょう。
水槽サイズ | 数 | 注意点 |
30×20cm | 1匹 | 入れても良いが後にタンク水槽は必須 |
---|---|---|
30×30cm | 1 | レイアウトによってはタンク水槽が必要 |
45×30cm | 1匹 | 終身飼育可 |
60×30cm | 2~3匹 | 2匹からの飼育がおすすめ |
90×45cm | 3~5匹 | 3匹からの飼育がおすすめ |
コケ取り生体として非常に役立つシルバーフライングフォックス。彼らは草食性が強いため、葉の柔らかさであったり、好みによって水草もガツガツ食べることがあります。
特に柔らかい葉は食べられやすく、ロタラワリッキー(リスノシッポ)やマヤカ、リシア、ウィローモスといった水草の新芽は食べられやすいです。一度食べられてしまうと新芽が出た瞬間に食べられてしまうので、同じ水槽内で蘇生させることが非常に困難、というより不可能に近いです。
シルバーフライングフォックスはお店によって価格にかなり差があります。筆者が購入したアクアショップでは150円で売られていましたが、charmでは1000円とかなり高め。都内ショップでも400円オーバーするのも見られますが、そもそも取り扱っていない場合もあります。
300円前後くらいで売られていたら安いと思って良いかもしれませんね。
個人的な意見では性格上に個体差はあるものの、性質自体は大きく変わらないと感じています。平和的な個体もいれば、大きくなって小さい物を追い回す個体もいるなど、人間にとってのアタリ、ハズレは選びようがありません。
成長するほど別途タンク水槽が必要になる可能性があるなど、飼育難易度は上がるというのも両者同じ。ただ、明確な違いはヒゲ苔やサンゴ苔への食いつきでしょう。サイアミーズは慣れてしまうと序盤から食べてくれない傾向が強いので、その点からするとシルバーフライングフォックスの方がおすすめです。
サイアミーズフライングフォックスよりもシルバーフライングフォックスの方がコケを食べる食性が強く、個体差によってばらつきが少ないのでコケ除去を目的としているならシルバーフライングフォックスの方がおすすめです。コケ除去の性能比較は「シルバーフライングフォックスのコケ除去性能比較」をご覧ください。
ヤマトヌマエビほどになると食べられることはほとんどありませんが、ヤマトヌマエビ相手でも後ろからゆっくり追いかけ小突く姿が見られました。
隠れ家があれば、エビはそこへ逃げますが、隠れ家ない場所だと水槽外に追いやられたり、ストレスで死んでしまうなんてことも起きかねません。また、極限状態に空腹の場合、食べることがあります。詳しくは「気性と混泳」をご覧ください。