グッピーの寿命と飼い方・繁殖・水温・餌・水槽に入れられる数を解説
グッピーはメダカや金魚、ベタに並んで初心者でも飼育しやすい熱帯魚として古くから人気のある魚です。グッピーの寿命は1年〜2年で、メダカと表情が似ていますが産卵をせず、お腹で孵化をして出産する卵胎生と呼ばれる魚になります。
繁殖の難易度は一部の種類は難しいですが、基本型のグッピーはオスとメスを入れるだけで勝手に繁殖し増えすぎて困るというアクアリストもいるほどです。
グッピーは古くから親しまれ、誰でも飼えることから丈夫な魚とされていますが、飼育環境の水温や水質を間違えるとグッピー特有の病気になり確実に死んでしまうという末路になることも珍しくありません。この記事ではグッピーの飼育のノウハウを初心者にもわかりやすくまとめているので参考にご覧ください。
グッピーの寿命や特徴
グッピーの情報 | |
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分類 | カダヤシ目 カダヤシ科 Poecilia(ポエキリア属) グッピー属 |
学名 | Poecilia reticulata |
別名 | – |
大きさ | 4〜6cm |
寿命 | 1年〜2年 ※3年以上になる個体も |
育成難易度 | |
温度 | 23〜26度 |
水質 | 7.0〜8.0 |
硬度 | 1〜8 |
繁殖 | 稚魚を出産 |
参考価格 | 50円〜 ※品種や希少性によって変動します |
グッピーの多くはブリード(人によって交配された)個体が流通しており、安価で入手できて丈夫な生き物として熱帯魚を飼育したい初心者にも愛される魚です。
グッピーの原産地は南米(北部)のベネズエラにある河川(代表的な河川はオリノコ川)になります。海外産グッピーを揃えるショップは少なく、流通していても原産地の個体ではなく、海外でブリードされたものであることがほとんどです。グッピーは品種改良が多くなされている魚なため、大手アクア通販のcharmでも国内産がほとんどです。
グッピーの寿命は1年〜2年
グッピーは1年〜2年程度しか寿命がないライフサイクルの短い魚です。繁殖によって数が増えやすい魚ですが、個体によっては1年を経たずに死んでしまう場合もあり、逆に3年近く生きる長寿個体も存在します。決められた水質や水温を維持出来れば長生きさせやすいです。
グッピー産卵しない卵胎生
グッピーはヒレ以外はメダカと似たフォルムをしています。また、メダカと同じカダヤシ科ですが、グッピーは産卵をせず、体内で卵を孵化させてから稚魚を放出する卵胎生(らんたいせい)です。そのためグッピーの繁殖には産卵床といったアイテムが必要ありません。
グッピーを水槽に入れられる数
グッピーは成魚になると5cm〜6cm程度まで大きくなります。1匹あたり5L前後の水量を確保出来ていると水の汚れるスピードが緩やかで、水換えなどの管理のしやすさから病気のリスクも軽減することができます。
水換え頻度に慣れ、餌のコントロールができている場合1匹あたり2L〜3Lの水量の確保でも飼育は可能です。
水槽サイズ | 数目安 | 水量 |
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幅30cm×奥行20cm | 2匹〜3匹 | 16L |
幅45cm×奥行き30cm | 3匹〜8匹 | 27L |
幅60cm×奥行き30cm | 10匹〜15匹 | 57L |
水槽サイズによっては少し寂しいと思えるかもしれませんが、グッピーは繁殖力が高いため、初めから1匹あたり2L前後の水量で飼育すると出産時に超過密の飼育環境になってしまいます。
グッピー飼育におすすめの水槽
フレームレス水槽がおすすめ
グッピーを室内で飼育する時はフレームレス水槽の方がオシャレに水槽を設置することができます。フレームあり水槽は耐久性が高いですが、インテリア性としては微妙です。
グッピーにおすすめの濾過フィルター
グッピーはヒレが大きく、泳ぎが得意ではないため、水流が強いフィルターにすると体力を消耗させてしまいます。また、稚魚も流されてしまう恐れもあります。濾過フィルターは水流が弱めのものを選ぶと良いでしょう。
また、グッピーを少ない数で飼育する場合は外掛けフィルターや外部フィルターを選ぶと良いですが、数多く飼育する場合は上部フィルターにした方が濾過性能も高く、メンテナンスが楽なのでおすすめです。
グッピーの飼い方(水質・餌の頻度・水換え)
グッピーの好む水温
グッピーを飼育する上での適温は23度〜26度です。20〜23度はやや冷えている、20度以下は冷たく調子を落としやすい水温。27度〜28度は高水温、それ以上は非常に暑い状態と認識すべきです。
国産グッピーは日本の気候に合わせやすいという情報がありますが、国産であってもブリード個体であり、野生下で育った品種改良種ではないのでメダカのように越冬することは難しいでしょう。越冬できる個体も現れるかもしれませんが死んでしまう可能性が高いので室内での飼育をメインとしましょう。
また、室内でも冬場は水温が20度以下になったり、夏場は26度以上になったりするのでヒーターやクーラーで水温管理することは重要です。
グッピーの好む水質
グッピーは弱酸性の水質よりアルカリ性の水質を好む魚です。日本の水道水の多くは弱アルカリ性なため、水道水をそのまま使用すれば問題ありません。地域によってはPHが7.0以下になるため、蠣殻や砂利などを敷いて調整する必要が出てきます。
PH7.0未満は酸性寄り、PH7.0が中性、PH7.0以上からアルカリ性になります。
グッピー水槽に入れる時は水合わせをする
グッピーを購入した場合、ショップからの持ち帰りでも通販でも、まずは水合わせが必要です。水合わせとは飼育環境とショップなどでの管理環境における水質をできるだけ合わせることを指します。
- 購入してきた袋を水槽に浮かべる。もしくは同じ温度の水が入ったバケツに袋ごと入れて30分放置。
- 袋に2〜3ヶ所穴を開けて導入する水槽に浮かべてさらに30分。(穴の空いた面を水中に)
- 袋にハサミを入れて先程よりも水が混ざるようにする。さらに30分放置。
- 最後に個体を水槽にうつし、袋の水は袋ごと取り除く。(気にならなければ水も入れて良い)
上記は水合わせの簡易的な一例になります。PHをより正確に慎重に合わせストレスを軽減させたい場合は点滴法とってエアチューブを使って飼育水槽から購入した袋へ一滴ずつ水を送り込んで調和せる方法がおすすめです。
点滴法での水合わせのやり方
まずは袋を開けずに水槽にそのまま浮かべて放置しましょう。袋の中身と水槽の水温を合わせるために行います。
季節によって温度差があると思いますが、購入してすぐに合わせるならおおよそ30分〜1時間ほど浮かべておけば大差ない温度になっているはずです。
購入時の袋が大きければ、水量も多いので水槽の中身を減らさないと溢れます。
水温を合わせたらバケツに袋の水と魚を入れます。冬場の場合は温度が水温が著しく落ちないようにヒーターを投入するのがおすすめです。(当たり前ですが水量とヒーターのサイズ等を間違えないように)
エアチューブを水槽に取り付け、その下にバケツを設置します。(水槽からバケツへはサイフォンの原理をしようします。)
点滴法をあまりにゆっくり時間をかけるととんでもない時間になってしまいます。長時間かけても大差ないため、30分〜1時間ほどが良いです。
終わったら網で生体を掬い飼育水槽へ移しましょう。
グッピーの餌と頻度
グッピーは口が上に向いていて、上層を泳ぐ傾向にあるので水面に浮遊するタイプの餌が食べやすくおすすめです。フレークや下流どちらも食べますが、フレークであれば小さな個体がいてもすり潰してサイズ調整できます。
偏食がなく全ての餌を食べるため餌選びに困ることはありません。水を汚れにくくするための餌、色揚げをするための餌、大きくするための餌、稚魚に与える餌など用途やシーンに合わせて選ぶと良いです。
グッピーの稚魚の餌
グッピーの稚魚は水槽を隔離してブラインシュリンプを与える方が効率よく餌にたどりつくことができますが、すり潰したフレークでも食べてくれます。
水換え頻度は1週間に1回〜2回
グッピーの飼育水槽は1週間に1回を目安に水換えをおこなうのがセオリーです。飼育している数が多いと水質が汚れやすく、週1回の水換えでは健康状態を維持できない場合があります。その場合は水換え頻度を週2回にすべきです。夏場は水温が上がりやすく水が汚れやすいので特に注意が必要です。
1回の水を換える量は30%〜50%の水量が理想です。あまりに多くの水を換えてしまうと水質(PH)が大きく変動し体調を崩しやすくなるのでご注意ください。週に2回以上水換えをする場合は一度に替える水の量を20%〜30%程度にするとストレスを軽減できます。ただ、週2回以上の水換えをするなら水槽のサイズアップを検討した方が良いです。
グッピーと混泳できる魚
混泳できる魚類早見表
(ネオンテトラなど) | カラシン(プレコ系) | オトシンクルス
メダカ | プラティ |
(アピストグラマなど) | シクリッドコリドラス |
ドジョウ | クーリーローチ淡水フグ |
ベタ | ディスカス | エンゼルフィッシュ
エビ | |
3cm前後の小型魚との混泳は難しくないですが、カラシンはヒレをかじる品種(ブルーテトラなど)がいるのでそれぞれの気性を確認した上で混泳しましょう。
また、プラティとグッピーを混泳させると同じPoecilia(ポエキリア)属のため、まれに交雑した個体が生まれます。グッピーよりも大きい魚になるほど、グッピーがヒレを齧られるトラブルが起きるので注意が必要です。
グッピーがなる病気
尾びれがボロボロになる尾ぐされ病
グッピーの特徴的である尾びれが擦ったようなちぎれ方やバサバサの状態になっていたら尾ぐされ病の可能性が高いです。尾ぐされ病は常在菌であるカラムナリス菌が原因で発症します。
初期症状は自然治癒できますが、明らかに尾びれのサイズが小さくなった、泳ぐのが大変そうという場合は魚病薬での治療が必要です。
お腹が膨らむ腹水病
グッピーが糞ずまりや妊娠のようにお腹がパンパンに膨らんでいる場合は腹水病の可能性があります。水質環境を変えたり餌を新鮮なものに変えることで改善することがありますが、エロモナス菌が悪さをしている可能性もあります。
水質と餌を整えて改善しない場合はグリーンFゴールドや観パラDで薬浴すると良いです。
白いフワフワが付く水カビ病
身体にフワフワとした白い紐や綿のようなものが付いている時は水カビ病を疑いましょう。水カビ病は身体に外傷がある時に発症しやすいのでレイアウトに怪我の要因がないか確認します。尖った流木や機材がないか確認すべきです。
濡れたキッチンペーパーにグッピーを乗せることで暴れるのを防ぎながら綿棒で白綿を取り除き、隔離水槽でメチレンブルーなどで薬浴すると効果的に治癒できます。
ヒレを閉じてフラフラ泳ぐグッピー病
ヒレが開かず、閉じた状態で頭をフリながらフラフラ泳ぐ症状です。カラムナリス菌が原因とされていて致死率は50%で水槽内に感染すると全滅する可能性すらあります。カラムナリス菌による病気の治療にはエルバージュエースが使われます。
稚魚が発生するハリ病
グッピー病と同じくヒレが開かないために針のような姿に見えることからハリ病と言われています。症状を改善させることは非常に難しく、死んでしまうことがほとんどです。発見したら隔離することをおすすめしますが、隔離した翌日や数日後に死んでしまうことが多いです。
グッピーの繁殖のコツ
グッピーのオスメスの見分け方
グッピーのオスは背鰭と尾鰭が大きいのが特徴です。特に色合いが良い個体はオスと判断しても良いでしょう。
グッピーのメスはオスと違って背鰭と尾鰭が明らかに小さく、お腹に丸みがあります。色味もオスと比べればかなり地味な個体もいます。
グッピー妊娠点
グッピーの妊娠を判断する手段の一つはお腹のサイズですが、妊娠初期時には妊娠点でも見分けることができます。妊娠点はお腹の後ろの部分に見えてくるものです。
グッピーの妊娠期間
グッピーの妊娠期間は3週間〜4週間です。妊娠初期からお腹が膨らむため初心者でも割と判断がしやすいのが特徴です。成長が進むと稚魚の姿がお腹から確認できることもあります(グッピーの色による)。
稚魚が生まれた後は餌を効率よく与えるために隔離してあげると生存率を上げることができます。
グッピー増えすぎたらどうする?
グッピーはオスメスを水槽内に入れておくだけでいくらでも繁殖してしまいます。そのため、放っておくと水槽の中がびっしりグッピーだらけになってしまうことも珍しくありません。
グッピーが増え過ぎてしまったら水槽内に入れる数を減らしたり、水槽を増やす必要があります。あまりにも数が増えてしまった時は友人や知人に譲渡したり、ショップに引き取ってもらったりしましょう。ただし、近くの河川や水田にグッピーを放流するのだけは絶対にやめましょう。
初心者でもできるグッピー飼育の流れ
グッピーの飼育に適した水槽や道具を準備します。その後、カルキ抜きした水を水槽にセットします。水温やレイアウトにも気をつけると良いでしょう。
購入したばかりのグッピーをすぐに飼育水槽へ入れるとPHショックを起こす可能性があるので、必ず水合わせをおこなうようにしましょう。
グッピーには顆粒やフレーク、赤虫などを与えます。餌を与えすぎると水質が悪化して病気や死亡のリスクを抱えるので注意が必要です。
1週間に1回は水換えをおこなうようにしましょう。水換えをしないでおくと病気になるリスクが上がり、尾ぐされ病や白点病になる可能性があります。
グッピーの人気の種類一覧
グッピーダンボ
ダンボ系は胸鰭が大きいのが特徴で、尾鰭もより大きく丸みがあり垂れ下がるようなフォルムをしています。
グッピーフルレッド
グッピーの中でも赤色に特化しているのが特徴で、水槽内を泳ぐフルレッドは灯火が舞うような幻想的な水景を見ることができます。他にもフルブラックなど色によって種類がいます。
グッピーリボン
通常のグッピーと比べて胸鰭、背鰭、尾鰭が長いのが特徴です。オスは生殖器が伸長しているため、繁殖が苦手という欠点があり、繁殖難易度が難しいことでも知られています。長いヒレが特徴なので他の魚のヒレをかじってしまうような魚とは混泳できません。
グッピーエンドラーズ
エンドラーズ・ライブベアラーの名前の方が有名です。エンドラーズグッピーとも呼ばれます。ここではエンドラーズと称します。エンドラーズは原種系と言われ、通常のグッピーよりも地味と言われます。しかし、体表がオレンジ、エメラルドグリーン、ブラックの3色で構成されており、他のグッピーとは違う魅力があります。サイズは品種改良グッピーよりも小ぶりで3cm〜4cmほどのサイズに落ち着きます。
グッピーブラオ
ブルーグラスグッピー同士を交配した場合、生まれた稚魚はブルーグラス(50%)、レッドグラス(25%)、ブラオ(25%)になります。パーセントは理論的数値なので、実際にはそうならない場合もあります。ブラオは、ネオンタキシードのような青色(濃紺に近い)の尾を持つ個体で、ガラス模様がないのが特徴です。フォルムは他のグッピーと同様で、オスはブルーデルタ一色ならデルタテールで、メスにも尾鰭に青色が入る特徴があります。
グッピーの飼い方によくある質問
- グッピーの正しい飼い方は?
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グッピーをうまく飼育するためのポイントは、水質管理です。水質がよければ、グッピーは病気にもかかりにくく、体も大きく育ちます。グッピーは弱アルカリ性の水を好むので、サンゴや貝殻を含む底砂が適していますが、中性でも飼育できるので、酸性に傾いてしまうソイル以外であれば問題ありません。他に飼育で気をつけるポイントは「グッピーの飼い方」をご覧ください。
- グッピーの飼育で気をつけるポイントは?
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グッピーは小型のカラシン系と混泳できますが、グッピーのヒレをついばむような攻撃的な品種は避けましょう(詳しくは混泳相性早見表をご覧ください)。また、グッピーは新鮮な水を好むので、週に一度は必ず水量の30%〜50%の水換えをしてください。特に小型水槽の場合は、水質の悪化が早いので、週2回水換えが必要になるケースがあります。