超小型水槽レイアウトのコツと水量・生体の数目安を解説
超小型水槽はサイズも小さく、重さも10kg未満になることが多いので家具の上に置くことができるメリットがあります。しかし、水量が少ないのでレイアウトの作り方や入れる生体の数によっては水質管理が難しくなり、結果的に水質崩壊で水槽を維持することができなくなることがあります。
この記事では水槽の水換えにかける頻度を週1回程度に済ませる水槽レイアウトの組み方や生体を入れる数について言及しています。地域の水質によって管理の仕方が若干変わってくるので参考としてご覧ください。
超小型水槽のレイアウトの環境と使用機材
20cm水槽のスペック | |
水槽スペック | 20×20×20cm |
照明器具 | 水作ライトアップ150 |
光量 | 220lm |
点灯時間 | 8時間 |
CO2 | なし |
TDS | 80 |
換水頻度 | 週0~1回 / 30% |
超小型水槽に使ったLEDライト
参考価格 | 1580円〜 |
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超小型水槽のLEDライトは水作ライトアップ150〜300シリーズがコスパ最強です。小さな水槽で育てる水草の種類はたかが知れているので単色、高光量ライトで十分育てることができます。
GEXリーフグローなどもデザイン的にもシャープで光量も確保できるのでおすすめですが、費用対効果で見ると水作には敵いません。
超小型水槽に使ったフィルター
超小型水槽になると水槽内のスペースを少しでも広く使いたいと思うのが普通ではないでしょうか。そうなると使用できる濾過フィルターは限られていきます。水中モーター式は水槽内をかなり圧迫するのでアウトです。そうなると組み上げ式の外掛けフィルターが一番無難になっていくのではないでしょうか。
本レイアウト作品ではコトブキ工芸のミニフィットフィルターMFを使用しています。水槽内の圧迫感なく、濾過槽を水槽の外に設置できるので小型水槽に対しては高性能といえます。付属のフィルターではなく、サイズに合わせて切った濾過マットを入れる方が濾過能力が上がります。
カチオンバッグもフィルターに入れることができますが、カチオンバッグを入れるよりも濾過マットだけの方が水流確保とゴミ除去ができるので相性は合わないかも知れません。
超小型水槽に使ったヒーター
エヴァリス プリセットオートヒーター 20を使用しています。縦設置、横設置どちらでも使用できるので利便性に優れています。20cmキューブ水槽(7L)程度なら十分保温が可能です。
超小型水槽の水温を下げる対策
夏場の水温を下げる対策にはジェックス アクアクールファン コンパクトを使用しています。20cmキューブ水槽の蓋を設置した時の残積にちょうど収まり、さらに7L水槽レベルなら十分水温を下げられるので良いです。ただし、夏場はほぼ毎日足し水をする必要があります。
超小型の水量と生体の数目安
20cmキューブ水槽は約7リットル
20cmキューブ水槽の水量は約7リットルでソイルを敷いた場合はさらに水量が少なくなります。約5リットル〜6リットル程度になるので水量自体はかなり少ない部類になります。
水量が少ないため水換えの時にフィルターを止めないと、水流によって敷いたソイルに穴を掘る形となりレイアウトが崩れる可能性があるので注意が必要です。小さなコップで注ぐか、ガラス蓋を使って水流を分散させると、ソイルや化粧砂をバラバラにせず注水を行うことができます。
入れられる生き物は魚3匹+α
かなり水量が少ないので3cm前後の魚が3匹くらいがちょうど良いです。多くのアクアリストの小型水槽を見てきましたがだいたい2匹〜3匹でバランスを取っているように思います。
またベタのようなサイズが大きめな熱帯魚は1匹が限界でしょう。そもそも混泳ができない種ですし。
魚3匹にプラスしてヤマトヌマエビを1匹〜2匹、貝類を少量入れておくのも良いでしょう。今回紹介するレイアウトではヤマトヌマエビ1匹、石巻貝2匹、レッドラムズホーン1匹でも問題なく管理ができています。
問題ないとするボーダーラインはどこか
生体を入れるにあたって管理上問題がないとするボーダーラインを決めておく必要があります。この作品においてはコケ取りを行うメンテナンス頻度を2週間に1回、足し水もしくは30%程度の水換えを1回程度を行って生体が気持ちよく泳げることをセーフラインとしています。
ガラス面にアオコやコケが多く出ている、油膜がひどい場合はフィルターのろか能力に限界が来ていることがほとんどなのでフィルターの手入れを行い様子を見ます。
このように水質環境が崩れても立て直しが効く場合は生体数に問題ないとし、水質環境が崩れて水換えをどう頑張っても立て直しが聞かない場合は生体数に対して濾過能力が追いついていない可能性が高いのでそもそもの水槽サイズや生体の数を見直した方が良いと考えます。
超小型水槽のレイアウト構築のコツ
凹構図は奥行きを出しやすい
凹構図とは中央に空間を開けるレイアウト手法のことを指します。両サイドに石や流木を置いて中央には砂を敷くだけでもそれなりのレイアウトにすることができます。
さらに後ろ部分の盛土を高くすることで高低差が生まれ、遠近法によって奥行きがさらに感じられるレイアウトを作ることが出来ます。
本作品においては中央にトンネルのように流木を配置しているので、多少なりとも奥行きがあるように感じますが、盛土が甘いので景観としても甘いなという印象が否めません。
しかし、流木でトンネルを作ることでただ中央を分けたレイアウトよりは想像力を掻き立てやすい作品にはできているかと思います。
20cm水槽は奥行きを出すために盛土をすると高さを失ってしまいがち。かといって盛土が甘いと水草を植えることが難しくなります。細かなレイアウトを作りたい人は植える作業を必要としない置くだけでレイアウトが組めるウィローモスやプレモスを使ってみることをおすすめします。
倒れてしまう流木はテグスで固定
さて本作品の作成過程について紹介していきます。こだわりのポイントは中央に設置した牙のような形の流木です。
このトンネルになりそうだなという流木をセンターに設置したかったのですが、左右差がある流木のためソイルに突き刺して自立させることができませんでした。
超小型水槽はソイルが少ない故にレイアウト素材を安定させることが出来ないというのはよくある話です。
石に接着剤でくっつけたり、流木同士を接着剤でくっつけるといった手法が無難です。しかし、それでも安定しない場合があります。今回もそれに該当する事例でしたのでテグスを使って水槽の外から固定してしまうという方法をとりました。
レイアウトを組んだばかりの時はテグスがピカピカ光り、かなり目立ちますが、ある程度管理するとパッと見では分からなくなってきます。さらに写真に収めても気づく人は少ないかもしれません。テグスを使って水槽外から固定する方法は他にも使えそうなのでこのような小型水槽でどんどん試してみることをおすすめします。
超小型水槽に植えた水草とサマになりやすい水草
無難な水草はグロッソ、ニューラージ
小型水槽の鉄板とも言える低床水草(前景草)はグロッソスティグマやニューラージパールグラス、キューバパールグラス、ウォーターローンなどです。特にニューラージパールグラスやウォーターローンは雑に管理したりco2が無くても育つので初心者にはおすすめです。
絨毯にしやすい前景草
いつもと雰囲気を変えるならロゼット型
先に紹介したグロッソスティグマやニューラージパールグラスなどは密集して隙間なく水草の絨毯になるので手っ取り早くサマになる水草水槽ができあがります。
これも十分、綺麗で満足のいくものになりますが、なかには草原や草むらのようにランダムに生え揃った景観を作り出したい人もいるでしょう。そんな時はロゼット型と呼ばれる根元から何本か伸長のある水草を選ぶと良いです。
この作品で使用した水草は手前にエキノドルス・テネルス、中景〜後景にロングヘアーグラスを植栽しています。密集して育つ水草はレイアウト素材まで覆ってしまいますが、エキノドルスやヘアーグラスなら隙間に対して生え揃ってくれるのでレイアウト素材を活かしやすくなります。
ただし、エキノドルスヘアーグラスはニューラージパールグラスなどと比べて這って育たないので絨毯を作るスピードは遅めです。
雑草のように生えるロゼット系前景草
水槽に発生するコケや油膜の対処
水苔(水カビ)はすぐに除去した方が良い
ボーンウッドなどツルッとした流木に発生やすい水カビは、アク抜きをしてもしばらく放置した流木から発生することがあります。また、新品のエアチューブにも発生することがあるので念入りに洗ってから水槽に入れることをおすすめします。
水槽を立ち上げた初期段階で発生することが多い水カビですが、ブラシでの削ぐ落としと水替え、プレコを入れるとあっという間に改善しやすいです。しかし、今回のレイアウトにメンテナンス生体というポジションであってもプレコを入れる予定はなかったので人力で対処しようと試みました。
先述したようにブラシの削ぎ落としと水替えで挑みましたが、力が入りづらい部分はレイアウト自体を崩壊しかねないので、諦めて取り出してしっかり洗って戻すことが効果的でした。
この水コケは放っておくと徐々に黒髭苔に変化していくのを確認しているので、実際は水苔というより、髭苔の派生前の姿なのかもしれません。初期段階で流木などで見つけたら髭苔として活着する前に手早く除去した方が良いです。
油膜の対処
水槽立ち上げ時期は割と発生しやすい油膜。濾過バクテリアの定着が不安定なことやソイルから何かしら滲み出ていることも考えられます。水苔(水カビ)が発生しているのも合わせて良い環境ではない時に油膜はよく見られます。
エアレーションはあくまで散らすだけの作用で根本解決の近道になるわけでもないように感じます。油膜があまりに気になる場合はキッチンペーパーで取り除くという方法もありますが、100均で大量に売っているキッチンネットを使用するのもおすすめです。荒めが細かく、キッチンペーパーよりも細かく油膜を取ることができます。水草の切れ葉も回収できるの一石二鳥です。