ハイグロフィラピンナティフィダ/UKが活着する条件と確実な育て方
ハイグロフィラピンナティフィダは群生させるのも良し、活着させてポイント的に見せるのも良しとレイアウトの幅が広いゆえに初心者から上級者まで人気のあるシダ系の水草です。
初心者でも育てられる水草とはいえ、ハイグロフィラピンナティフィダが好む水質や肥料を与えるタイミング、光量を理解していないと葉が溶けて枯れてしまったり、病気になって全滅してしまうことがあります。
ハイグロフィラピンナティフィダを綺麗に育てたいなら必要な水質(PHや硬度)や肥料、光量、co2量を知っておくべきです。また、活着できる水草ですが、特性を理解していないと活着させることができません。
この記事を読めばハイグロフィラピンナティフィダを満足に育てることができ、活着もむずかしくなくさせることができます。
ハイグロフィラピンナティフィダの育成条件
ハイグロフィラ・ピンナティフィダの情報 | |
---|---|
分類 | キツネノマゴ科 オギノツメ属 |
学名 | Hygrophila pinnatifida |
類似水草 | ボルビティス |
別名 | ハイグロフィラ ピナティフィダ |
葉の大きさ | 葉幅1~2cm 葉の大きさ3~8cm |
育成難易度 | |
成長速度 | 普通 |
レイアウト配置 | 中景 |
温度 | 20〜28度 |
水質 | 6.0〜7.5 |
よく育つ硬度 | 2GH〜4GH 35.6mg~71.2mg |
二酸化炭素(CO2) | ほぼ必須 |
光量/照明 | 高い光量が必要 |
増やし方 | 枝分かれ ピンチカット 差し戻し |
参考価格 | 300円〜/1株 |
活着できる有茎草
ハイグロフィラピンナティフィダは有茎草の中で唯一活着力を持つ水草です。活着は本来コケ類やシダ類、アヌビアスやブセファランドラなどの水草に見られる能力です。ですが、ハイグロフィラピンナティフィダは茎を持つ有茎草にも関わらずコケ/シダ類のように活着することができます。
活着とは、石や流木など様々なものに活着根という特殊な根っこで張り付く能力の事です。自然界では流されない・その場に止まるために展開されると言われています。
活着できる株とできない株のちがい
ランナーがあるものは活着可能
ハイグロフィラピンナティフィダの茎から根が生えているのものは活着しやすい状態です。アクアショップではランナーが出ているものを別種として販売している場合もあるほど。自由に伸ばせてあげれば活着根は作りやすいです。
ランナーがないものは活着不可
茎から根が出ていない個体を石や流木に巻き付けても活着できる可能性は低いです。栄養素が多い水槽内では、茎部分から根を張り出す場合がありますが、必ずしも出すわけでないため、枯れてしまう場合もあります。
中硬水でも育つ水草
ハイグロフィラピンナティフィダは軟水(GH0)から中硬水(GH6)まで育つ水草で、日本全国の水道水でも割と育てやすい傾向にあります。
一部地域では中硬水の目安である120mg/Lを超える水道水になるため、うまく育てられないことがあります。硬度の高い地域では浄水器やイオン交換樹脂を使ったろ過材を使用して硬度を下げると育てることができます。
ハイグロフィラピンナティフィダの失敗しない育て方
- 低床はソイルを使う
- 軟水〜中硬水でも育てやすい
- 光量は強く当てすぎない方が綺麗
ハイグロフィラピンナティフィダに使う低床
低床とは水槽に敷くものを意味します。
低床には土で固めたソイルを使用するようにしましょう。ソイルを使用した方が弱酸性よりの水を作りやすいからです。砂利を使用すると硬度が上がりすぎてしまい育たなくなるケースがあります。
ソイルは栄養を多く含んだタイプと栄養がなく水槽内の不純物を吸い取るタイプがあります。水草水槽を始めて間もない人は水槽内の不純物を吸い取るタイプを使用した方が失敗が少ないです。JUNプラチナソイルはコスパが良く機能性も高いのでおすすめです。
ハイグロフィラピンナティフィダの育つ硬度
ハイグロフィラピンナティフィダはGH0〜6の軟水から中硬水で育てることができます。地域の水道局のデータを参照するときは0mg〜106mgまでが育てやすい領域ととらえておくと良いです。
それ以上の数値は中硬水ではなく硬水や超硬水に分類されるので育てることがむずかしくなります。
ハイグロフィラピンナティフィダの必要光量
水槽規格 | まぁまぁ育つ | 十分育つ |
---|---|---|
30cm | 300~500lm | 588~1,176lm |
45cm | 750~1,000lm | 1,500~2,000lm |
60cm | 1,000~2,000lm | 2,550~3,000lm |
主な基準参考商品:リーフグロー、suisaku300~、KOTOBUKIツイン、GEXパワーⅢ、アクロtriangle
LED照明でも十分育ちますが、蛍光灯の方が発育が良い印象です。あまりに強い光量を浴びせるとコケ(藻)の被害に合いやすいです。また、高い光量下では葉が赤くなりがちです。
品質 | ライト名 | 規格別 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
水作ライトアップ | |||||
ルーメン | 588〜936lm | ||||
GEXクリアLEDパワーⅢ | |||||
ルーメン | 500~1000lm | ||||
アクロ TRIANGLE LED GROW | |||||
ルーメン | 1000~3000lm | ||||
Chihiros wrgb2 | |||||
ルーメン | 2300~4500lm |
二酸化炭素添加は必須
ハイグロフィラピンナティフィダは二酸化炭素添加で成長スピードがグンと上がります。特に培養カップで売られているピンナティフィダで、明らかに弱っている個体であっても二酸化炭素添加をしっかり行えている環境下なら持ち直します。
ハイグロフィラピンナティフィダが赤くなる条件
ハイグロフィラピンナティフィダは育成環境によっては葉の裏だけでなく、葉の表面も赤くなることがあります。高い光量が必要になることに加え、栄養をあまり与えすぎないことも要素に加わってきます。赤くしたい場合は点灯時間や肥料の調整を行ってみましょう。
ハイグロフィラピンナティフィダの増やし方とトリミング
株を増やすトリミングは葉が3枚あればOK
ハイグロフィラピンナティフィダは葉が3枚あれば増殖可能です。茎が短くてもソイルから葉が出ていれば問題なく成長します。ただし、メルカリなどのフリマアプリに売りに出す際は、茎が短すぎると売れません!
茎の長さを3cmほど確保した状態でトリミングするようにしましょう。
ハイグロフィラピンナティフィダ活着苗の作り方と活着方法
ハイグロフィラピンナティフィダ活着苗の作り方
ハイグロフィラピンナティフィダの活着苗は以下の3点に気をつけることで作りやすいので参考にしてみてください。
- ソイルと茎が近い状態
- 近くに石や流木がある状態
- 水流の強い場所
少量のソイルにピンナティフィダや他水草を植え込み、流木や石で苗周りを固定する。あとは放置するだけで、他水草との生存競争で苗が垂直に伸びず、必死に生きようと様々な方向へ成長します。
その際に、ソイルに近い部分や水中の栄養を取ろうとして、ランナーを茎から出していきます。これで活着苗の出来上がりです。また、水流の強い場所にハイグロフィラピンナティフィダを配置することでも活着根を展開してくれます。
ハイグロフィラピンナティフィダを活着させるポイント
ハイグロフィラピンナティフィダを活着させるにはテグスに巻き付けておくだけでなく、水流のある場所に置いておくことがポイントになります。水流のある場所に置いておくと植物はストレスが加わります。
このストレスはその場に根を張らないと流されてしまうというストレスです。このストレスを与えることで活着スピードが早まりすぐに活着させることができます。水流のない場所に置いておくとストレスがないため、いつまで経っても活着することができなくなります。
ハイグロフィラピンナティフィダがかかる病気
葉に穴があく葉が黄ばんでいくシダ病
ハイグロフィラピンナティフィダの葉が黄色くなったり、ポツポツと葉に穴が空いていく原因はシダ病である可能性が高いです。水質の悪化や高水温だと発生しやすい病気で、パールグラスやロタラ系にも感染する病気です。
適度な水換えや水温を25度以下に下げるなどの対策を取りましょう。また、黄色い葉や穴が空いた葉はすぐにカットし、広がらないようにしましょう。
シダ病の対策まとめ
- 適度な水換えを行う
- 古い葉はトリミングして事前にとっておく
- 水温を25度または25度以下をキープする
夏場は特に水温が高くなりやすいです。クーラーや扇風機を5月中旬くらいから取り付けた方が良いでしょう。
ピンナティフィダの水上化の方法
水分を十分に含んだ土に植えよう
ハイグロフィラピンナティフィダは、根ごと水分をよく含んだ土に植えると高確率で水上化させる事ができます。水上葉は全て萎れてしまいますが、水上葉が再び生えてくるので辛抱が大事です。元々水上からはみ出たピンナティフィダをトリミングし、刺し技することで水上葉として蘇らすことも可能です。
越冬は難しい
夏場は木の様に幹を太くさせながら成長してくれますが、寒い時期になるとどんどん弱まっていき、11月〜12月ごろには枯れてしまうので越冬は難しいでしょう。
ハイグロフィラピンナティフィダと相性の良い水草
ミリオフィラム・マトグロッセンセ
ミリオフィラム・マトグロッセンセは軟水〜中硬水で育つ水草のため、同じ環境で育てやすい傾向にあります。ハイグロフィラピンナティフィダを活着のワンポイントに使い、ミリオフィラム・マトグロッセンセを中景に添えることでレイアウトバランスをとりやすくなります。
ウィローモス
ウィローモスとハイグロフィラピンナティフィダのみでレイアウトを構成するアクアリストも多いです。すみだ水族館の巨大水景もウィローモスとピンナティフィダをメインとして構成されています。
ハイグロフィラピンナティフィダを使ったレイアウト
ハイグロフィラピンナティフィダの値段
ネットの価格は1本500~600円程度(送料込)
水中葉のハイグロフィラピンなティフィダは1本あたり500円程度で販売されています。鉢売りがメインとなっているので、1700円前後で3本が入手できるといったところ。ちなみに、活着苗は現在1本あたり360円で売られているようです。(送料込)そのまま植え込んでも繁殖するので、水撒き用を購入した方が若干お得かもしれません。
フリマアプリの価格は1本100円程度(送料込)
メルカリなどのフリマアプリでは1本あたり100円程度で売られています。10本でまとめ売られていることが多いため、1つのレイアウト(アクセント程度)に対して1000円程度で用意できるのはかなりお得です。ピンナティフィダの群生を作りたいといった場合でも出品数が多いことから20〜30本を低価格で集めることは容易です。
また、ピンナティフィダをまとめ売りするユーザーは割と中〜上級者の傾向が高いため、変な苔やスネール混入なども少ない印象です。管理の徹底されていないアクアショップよりマシなケースも。
培養カップは安く入手できればコスパ最高
ADAやGrowから培養カップで売られています。1カップ正規値段で950円〜1780円程度。ただ、場所によっては2000円近くで売られている場合もあります。人気が高く、アクアショップでは売られていないケースもあります。
こちらは苔やスネールを入れたくない方向けといって良いでしょう。苗としては10本ない程度が入っています。もし900円台で入手できたらコスパ最高です。